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賛成(良かった)2点、やや賛成(ある程度良かった)1点、中立0点、やや反対(やや不満)-1点、反対(不満)-2点とそれぞれ尺度化して平均得点を求めてみると、配偶者が地元出身の場合はUターンを検討したときに1.44点であったが、実際にUターンしてみると1.40点とわずかに評価が厳しくなっている。一方、地元以外の出身である場合はUターンを検討した段階では賛否意見が割れていたので0.04点と低く、実際にUターンしても0.40点とやや改善されてはいても意見が割れて低い評価にとどまった。

 

第4節 まとめ

地方の時代といわれて久しいが、地方分権化の流れは少しづつではあるが着々と進みつつある。バブル崩壊の影響は大都市圏で顕在化した。急速に進む円高が電機や自動車産業などのリーディング産業の国際展開を急速に進めることになり、繊維の産地や労働集約的な産業に依存する地場産地に深刻な打撃を与えることとなった。そのような状況の中で三大都市圏の人口の社会増はマイナスに転じている。国際化が進む中で広域的にネットワークを広げた地方圏が安定的に推移しているのと同時に、北関東、近畿など大都市圏から少し離れた交流圏では人口の社会増を招いている。狭い地域への人口集中は構造的に大きく変化してきたともいえよう。
そのような経済環境の変化の中でU、J、Iターン施策を展開することで労働力の地方回帰を推進してきたのであるが、高齢化や核家族化が進み、郷里の老親の面倒を見たいとか、自然に恵まれた中で子育てをしたいとか、より豊かな生活をしたいなど、地方回帰を望む人たちは着実に増加してきた。しかしながら、大都市で働く人が郷里に戻るといっても満足できる就業の場が用意できているかどうかが、それを成功させるかどうかの分かれ目でもある。
Uターン者の採用に際して公共職業安定所やUターンセンター、人材銀行が重要な役割を果たしている。求人誌や企業説明会も効果的であるが、応募者の立場からは公的職業紹介機関への信頼はかなり大きい。しかしながら、求人情報を含めてパソコン通信やインターネットなどの利用はまだ低く、求職者側でもその利用は少ない。しかし、中小企業で特に求人難になっているような状況と、ある程度の年齢になるとマッチングが難しくなっている現状をふまえると、新しい職業情報提供機能の強化策が考えられて良い。
中途採用者に対して地方企業は、ある程度の専門性を備えた即戦力になる人材を求めている。年齢的には30歳代前半までがその中心である。実際にUターン採用した人材の定着率は高く、賃金については年収べースで1割ほどダウンしているが、住居費や食費が安くあげられる分だけ、実質的な生活水準の低下にはなっていない。しかし、レジャー・娯楽施設、文化施設や子供向けの施設、医療施設などインフラヘの不満は強い。ある程度の都市機能を備え、インフラを強化した拠点都市への集積に期待される部分でもある。
また、Uターンに対する配偶者の意見は、配偶者が地元出身であるかどうかにより大きな差異を認められる。地元出身者がおおむね高い評価をするのに対して、地元以外出身の配偶者からは

 

 

 

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