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ハウを技術移転してくれる核になる人材への期待も大きいと思われる。
一方、少子化が進む中で、学生時代を大都市で過ごし、就職は生まれ育った故郷でしたいとの希望は増えている。また、都会で働く在職者でも老親の面倒をみるために、Uターン就職を希望している人も多い。奥さんの実家に近いところに住み奥さんの老親を面倒みるといったケースも増えている。このような労働供給側の事情も加わって、地方回帰が加速しているものと思われる。では、U、J、Iターンなど労働力の地方回帰・地域間移動に関わる問題はどのようであろうか、雇用政策的にどのような支援策を考えていけば良いであろうか。また、労働力需給のミスマッチの状況はどのようであろうか、Uターン促進策を展開する上での障害はどのような点にあるであろうかなどをアンケート調査などの結果から検討することにしよう。

 

第2節 Uターン人材を求める地方企業

 

1. 企業属性と経営戦略の特徴

 

三大都市を除いた2,000社を対象にアンケート票を送付して回収のあった742社を分析の対象とした。また、個人調査については、回収のあった企業の従業員にアンケート票の配布を依頼して、回収のあった327人を分析の対象としている。
まず、回収のあった企業の属性であるが、県庁所在地に立地する企業が44.6%、県内第2・第3の都市に立地する企業が16.6%と、6割以上の企業が地方中心都市規模に立地している企業である。業種では建設業が14.6%、製造業が33.7%、卸・小売業が23.7%、金融業が5.7%、サービス業が21.4%などとなっている。また、従業員規模は30人未満が12.5%、30〜100人未満が24.5%、100〜300人未満33.0%、300人以上27.6%と中堅規模の企業が中心であって、平均で309人(正社員男子57.8%、女子20.5%、パート20.9%)となっている。売上は3年前に較べて5%以上伸びているという企業が半数を占めており、比較的順調な企業が多かった。
高付加価値・高品質を指向したマーケティング戦略を採る企業が多く、高シェアよりもセグメント化した市場で利益を確保する堅実型の経営を展開する企業が多かった。このような経営戦略を実現するために基本的には新規学卒者の採用を重視し、従業員の多能化をはかりつつ、配置転換を進めるなどフレキシブルな配置を進め、パートタイマーの戦力化も進めるなど人事労務面での対応も積極的である。基本的には従業員の内部化によって対応しようとしているが、一方で、U、J、Iターン(以下Uターンと省略)者の採用や中途採用者の確保にも力を入れている。彼らに不足しているノウハウの移転を期待しているのである。

 

2. 人材確保に悩む地方企業

 

(1)新卒・中途採用の実態
しかしながら図表1-4のように、思うような人材が採用できずに悩んでいる企業が少なくない。なかでも、事務系や技能系の人材についてはそれほど問題になっていないが、営業系と技術

 

 

 

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