
第1章 地域間労働移動と地域産業活性化への課題
調査結果の要約
第1節 地域間移動の今日的視点
1 低下する三大都市圏への人口集中 自治省「住民基本台帳人口要覧」(平成8年8月)によると、三大都市圏の人口増加率は図表1-1に示すように、いずれも鈍化傾向にある。その理由は図表1-2のようにバブル崩壊後に顕著となった社会減であるが、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)でみれば平成2年度から7年度にかけて、0.30%→0.29%→0.16%→0.02%→-0.02%→-0.04%となっている。それは、名古屋圏(岐阜、愛知、三重)、関西圏(京都、大阪、兵庫、奈良)などでも同じような傾向にある。 
80年代半ばには大都市への人口集中が問題とされ、地方分権や多極分散型の国土開発が志向され、地方回帰を促す意味からも大がかりなリゾート開発などのプロジェクトが目白押しであった。しかしバブル崩壊を契機に、国際金融の拠点としての東京の地盤低下、グローバル化の進展やコンピューターネットワーク化の進展によって地方圏でもビジネス環境が改善されたこと、大型の公共投資が続いたことなどから相対的には大都市部での景況の低迷が顕著になってきた。
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