からみれば、船舶は陸上のオフィスと同様であり、一つのチームあるいはグループと見なして管理をしたい。
・船舶運航の品質維持向上のため、今後益々本船とインスペクション情報のやり取りが増える傾向にある。更には、安全運行のため、多国籍船員のきめ細かい人事管理と評価が要求されてきている。そのためにも、社内のデータベースの確立が急務である。
・船舶より自社のデータベースの検索、更新はいうに及ばず、インターネットを使用して外部データベースを随時サーフィンできるようにしたい。
そのためにも、気象、海象、港湾、造船、舶用機関等の充実したデータベースの整備を期待する。
・フリートマネージメントシステムの進展により、船舶内でのネットワークの活用が日常茶飯事になれば、システムのトラブル対応を考えておかなければならない。船舶内のトラブルシューテイング、ヘルプディスク等の運用支援業務を陸上から、リモートコントロールしてくれる情報専門業者があるとよい。
・現在の船陸間通信はインマルAまたはインマルBを用いて行われるが、本船搭載のインマルサット形式によっては内部基板の交換や各種の調整作業が発生する。またIDを新たに取得しなければならないものもある。当然、船籍によりIDの申請形式も異なってくる。機器の改修に対しては、各種の安全基準や検査項目が追加されることもあるので、注意が必要である。
・混乗船を想定したパソコン及び必要なソフトウエアに関する事前教育は必須である。また、日本語版OSであるとシステムのトラブル発生時に表示メッセージが理解されない場合もあるので、英語版のソフトウエアの搭載が望まれる。
今後益々船舶へのパソコンの搭載並びにネットワーク化は拡大されつつあるので、このような、現場の生の声は貴重である。
2. 事例紹介
ケース1 客船運行管理システムの事例
(1)システムの概要 〔図-1-(a)〜(b)参照〕
A社は、10年前クルーズ客船の運航と集客業務を目的として設立された。基幹系業務のシステムは、本社はAS/400を、本船はUnixをプラットホームにして「船客情報管理システム」が稼働していた。しかし、両システム間のコミュニケーション手段として使われたのは紙(FAX)であった。その結果、膨大な情報が陸上より紙面にて流れてきて、また複数情報がリバイス版として追加で送られていた。本船側では都度情報の修正を船上コンピュータでインプットしているのが現状であった。また、業務により情報フローが陸から船へ(あるいは船から陸へ)の一方通行が多かったため、情報が不正確であったり、タイムラグが発生したり、またリアルタイムに処理できないことも大きな問題であった。