(2)我が国のボランタリー・オブザービング・シップ
VOS(Volunteer Observing Ships)は海運・水産業界における地球環境への貢献策として、フェリー、商船等のような一般の船舶を利用し、気象・海洋観測データを自動的に取得する船舶の公称である。その一例として、原島(1996)がフェリー“くろしお”に搭載した水質計測システムを図2.2.12に示す。ここでは、船舶エンジンの冷却水を利用して水質を計測し、得られた観測データはデータロガーに収録されるシステムとなっている。また、位置・時刻に関する情報はGPSにより測定され、同様にデータロガーに収録される。
なお、このようなシステムは幾多の機関で既に実用化されているもので、前田ら(1985)は赤潮の発生機構及びその予知することを目的とした自動観測装置を試作しているし、気象庁ではエルニーニョ現象の発生予測に関する研究の一環で商船積載自動観測装置の試作を行っている(佐伯,1988)。
3)ボエジレコーダ
ボエジレコーダ(航海自動記録装置:Voyage Data Recorder)は、航海の安全と効率を図るため、船舶の正確な運航状態を把握する必要性から開発研究がなされてきたもので、航空機のフライトレコーダーと類似した機能を併せ持つ機器である。桑島ら(1996)によれぱ、これまでボエジレコーダの開発はIMO(世界海事機関)でも装置の統一仕様を目指した動きがあったものの、各国の思惑や航行中の計測センサーの未開発が相俊って結論が出されていない状況と言われている。
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