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IV-機器の開発

1.水中ロボット

沖合の浮体構造物の位置決め、設置、点検に欠かせないのが水中ロボットである。特に設置水深が深くなるに従ってその重要性が増す。浮体構造物に必要な水中作業として、水中調査は勿論のこと係留索の接続や切断、水中溶接、非破壊検査、海中生物除去、パイプラインの点検等々が考えられる。
その作業内容で、水中ロボットに何をさせるかによってその形式は違ってくる、例えば光学的観察だけでよければ、小型水中テレビカメラを搭載した推進器で泳ぎ回れる遠隔操縦式の小型水中ロボットでよいが、水中で重作業を行うものは遠隔操作の出来るマニュピュレーターを備えた、大型の水中ロボットが必要になってくる。小型水中ロボットにはいろんな種類のものがあるが、ある程度技術は確立されている。しかし、ここに作業能力を付加するとまた形の違った水中ロボットになる。例えば測定作業を付加したものとして、運輸省港湾研究所で開発したアクアロボ等がある。
北海の海底油、ガス田の開発には、水中ロボについていろんな作業に使用している。例えば中央のプラットフォームからいくつかの遠く離れた源泉を、放射状にリンクしている設置工事例であるが、ここでは次のようなところで使用している。

 

?@パイプ敷設
パイプ敷設については敷設船を用いるが、ビデオ、潜水測量装置、プロファイラー、ソナー、マニピュレーター、ワイヤーカッターを備えた水中ロボも重要な役割がある。それは、本船でトランスポンダーおよび水中ロボのカメラとソナーの惰報をモニタリングして、監視している。また、小中ロボにはパイプエンドの閉鎖部分のカッティングも行っている。

 

?Aパイプ敷設後の点検
イ)パイプは海底面下1Mに溝を堀り敷設するが、うまく溝に収まっているかどうかの確認のため水中ロボを用いる。トランスポンダーはもちろんであるが、この場合には水中ロボにビデオカメラ、深度計、パイプトラッカー(パイプ追跡装置)を装備している。
ロ)海底面の起伏がパイプ敷設にダメージを与えるような状況の把握にも水中ロボを用いる。この場合には、パイプ敷設溝の中に納まるよう設計された特別の装置で、モノレールのように水中ロボを移動し、オドメーター(走行距離計)を用いてパイプ長さや高低差の正確な確認を行う。図-4.2.1に北海油およびガス田開発の全体図を、図-4.2.2に水中ロボットの使用例を示す。
今後浮体構造物の位置決め、設置で必要とされる水中ロボットは北海油およびガス田開発の例のように、単に水中観察だけなら問題ないが、作業を行うロボットについては作業を特化してその作業に伴うガイド等の装置や測量装置等を開発して装備することになると思われる。
したがって、今後として必要なことは、水中ロボに期待する作業を分類し、それに合った装置の開発が重要である。図-4.2.3に水中ロボットの分類を、図-4.2.4に大型水中ロボットの一覧を示す。

 

 

 

 

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