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6.パイプラインの敷設 1),2),3),4),5),6),7)

(1)概要
海洋上での石油・ガス開発では、陸上部の処理施設への大量輸送手段としてパイプラインが経済的で多く使用されている。そして、石油生産時の小量の随伴ガスは、従来、生産現場で燃焼焼却されていたが、最近では、環境問題より放置できず、ガスを集合処理するためのパイプラインが必要で、施工機会が増加する傾向となっている。一方、石油・ガスの採掘場所も条件が厳しくなり、陸地から遠く離れた大水深の海域となり、個々に会った合理的な施工法が考案される状況となっている。
現状のパイプライン設置上の難点は、政治的な問題を除けば、極端な大水深とか海底の凹凸が激しいとか流速が早いという場合に限られる。
世界の石油・ガス採掘地域と市場地域は遠く離れており、それらを繋ぐ、輸送パイプライン網も種々計画されているが、そのルート中には海峡横断などに伴う大水深域でのパイプラインの敷設作業が必要となる。そのような例として、メッシナ海峡、シシリー海峡横断やジブラルタル海峡横断等があり、前2者は完成済みで、後者は現在、施工中である。また、今後の計画として、アラビア湾横断、マラッカ海峡横断とか宗谷海峡や津軽海峡横断等が考えられているようである。
敷設については、伝統的な方式であるスティンガーを用いたS-lay(Stinger layi?r)方式(図-3.2.17)とTotal-CFPグループによって深海向けに提案され、1970年代末より使用

 

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され始めたJ-lay(j curve laying)方式(図-3.2.18)の2種に大別される。この使い分けはS-layでは、水深の浅い海域で、小径のパイプ敷設に使用されることが多く、J-layでは、大水深の海域で、大径のパイプ敷設に採用されている。しかし、両者の厳密な使い分けについては種々議論もあり、まだ、明確にはなっていないといわれている。
一方、両者を設備的に比較した場合、S-layでは、スティンガー及びテンショナーを必要とし、パイプの溶接はパイプが水平状態に近く置かれるため、復数箇所での溶接作業が可能で、手溶接またはMIG溶接が用いられる。そして、パイプにテンションを与えるためのアンカーが必要となる。J-layでは、スティンガーやテンショナーが不用であるが、バイプは鉛直近い状態に置かれるため、パイプの溶接は1箇所に限定され、溶接速度が敷設速度を大きく支配することとなる。S-way方式にはsingle-pipelaying法と2つまたはそれ以上のパイプラインを同時に敷設するピギーバック(Piggy back[or bundle]Pipelaying)法とかdual lay法がある。一方、

 

 

 

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