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4.浮体式海洋構造物の係留

浮体式海洋構造物は、浮力を有する構造体を、所定の海域に係留して使用するものである。浮体式海洋構造物の設計は、浮体の安定、浮体の構造、および係留施設について行なう。
浮体の安定性は、浮遊時、曳航時、完成時について、復原力特性を調べることにより行なう。曳航中の浮体の復原力特性は、浮体の動揺周期Tnと波の出会周期Twに注意して行なう。
浮体の縦強度は、通常は、浮体をはりとして積荷および波浪の状態に応じて、ホッギング状態とサッギング状態について検討する。また、浮体の横強度は、浮体および被荷の重量、水圧、係留中および船舶接舷時の衝撃力などを考慮して検討する。一般には、船級協会規則の標準荷重状態に基づいて検討するが、特殊なものについては、浮体の動揺、波力などを考慮して動的に解析する。
係留方法には、チェイン・ワイヤ・アンカー・シンカー、またはドルフィン・係留ゴム、さらにこれらを用いずに、浮体に設置された推進器(スラスター)で位置保持を行なうものがある。ここでは、以下に、とくに浮体式海洋構造物の係留施設の設計について、最初の二つの方法、およびTLP(テンション・レグ・プラットホーム)の係留について述べる。

 

1)チェイン・ワイヤ・アンカー・シンカー
この方法は最も一般的に用いられるものであるが、図-3.2.14示すように、チェインの重量によって生じる鉛直および水平抵抗力によって浮体を係留するものである。比較的穏やかな海域で、浮体の深さに対し相対的に水深が大きいところに用いられる。係留系の特性が比較的軟らかく、浮体の水平変位が大きくなるので、水平変位が制限される場合には適当ではない。

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静水中で浮体から海中にチェインを投じ、浮体に水平方向の力を与え移動させると、チェインはカテナリー曲線を描く。このとき、チェインの単位体積重量、水深、浮体の移動量に応じて、水中部のチェイン長さが変化し、それに伴ってチェインの張力が変化する。静的な検討の場合には、潮流などによる作用水平力を与え、数種のチェイン重量に大して、チェイン張力、浮体側設置点およびアンカー点の水平力および鉛直力、また水平移動量を

 

 

 

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