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2.浮体構造物の輸送

(1)概説
浮体構造物は、その用途・種類・構造物の形式等によりいろいろな種類がある。
したがって、それぞれの構造形式・輸送先までの輸送ルート、輸送時期等により、これらの諸条件に適した輸送方式を採用することが必要である。
浮体構造物の輸送には、浮体構造物自体の浮力で浮かせて直接曳航する方式と、超大型デッキバージに搭載して輪送する方式とが考えられるが、外海を曳航する場合、曳航時の気象・海象条件に耐えるだけの構造強度がない場合、これに十分耐え得るような準備と補強をおこなわねばならない。加えて曳航日数もかなりの長期期間をようすることからリスクも大きい。そこで、これらの浮体構造物を安全、確実に海上輸送する方法として半潜水式デッキバージによる輸送方法が開発された。
(2)輸送方法
浮体構造物の輸送については、その規模と形状、浮体自体の強度及び輸送における自然条件と輸送距離、その他の条件によって大きく3つの方式に類別される。
?@直接曳航方式
浮体構造物を浮遊状態で建造所等から、現地設置場所等まで曳船にて直接曳航する方式である。直接曳航方式で復数の曳船を使用する場合の曳船配置には直列曳航と並列曳航、多列曳航とがある。
?A吊揚輸送方式
浮体構造物の重量が現有する起重機船の吊能力(定格能力)以内であり、構造上吊揚げて輸送するだけの強度を有し、しかも輸送する区間が比較的近距離の場合に吊揚輸送を行うことがあるが、特殊なケースな場合に限られることが多い。
?Bバージ輸送方式
バージには、その輸送物体の種類、目的場所、輸送物体の積み込み・降ろしの方法によってその形式が分かれている。一般的なバージの種類としては
イ)フラットデッキバージ
平甲板式で係船柱、揚錨機の他は設備的な構造物がないので長大物体の搭載に適している。
ロ)セミサブバージ
半潜水式でバージ内部のある区画を残して注水し、バランスをとりながら上甲板を水面下まで沈降させ浮体構造物を甲板上に進入させ位置決め固定して、バージを浮上させるシステムである。この方式は、浮体構造物が超大重量であるとか、構造上吊り上げてバージに搭載する方法等に対するだけの、強度を有していない構造物の搭載に適している。尚、このバージには非航式と自航式とがある。
ハ)ランチングバージ
傾斜進水式で後部を注水により適当な角度に傾斜させ、甲板上に装備されたランチングウェーをスリップさせ構造物を進水させる。主として浮遊式ジャケットの輸送に使用されることが多い。

 

(3)曳航事例
大型浮体構造物を曳航する事例として、多数隻の曳船による直接曳航事例と半潜水式バ

 

 

 

 

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