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III-2浮休式橋遣物の建設技術の現状

1.浮体構造物本体の建造

(1)鋼製浮体構造物の建造1)
浮体は鋼製またはコンクリート製(あるいは鋼コンクリート合成)であるが、本節では、鋼製の浮体の建造に関して述べる。
デッキおよびボトムや側壁などは12ないし15mm程度の鋼板からなるが、これをロンジ材(アングルまたはカットT材など)で補強し使用される。隔壁は浮体前後方向3〜5m程度、幅方向10〜20mの間隔で設けられ、水密区画では通路がないが、そうでない場合は点検等のための通路(マンホール)が設けられる。また、必要に応じて、電気などライフライン用などのケーブル・配管、また、デッキレベルの微調整のためのバラスとタンクが浮体の内部空間を利用して設けられる。
図-3.2.1に鋼製浮体の概略構造図を示す。

 

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鋼製浮体の建造は、建造する工場の設備や作業性によって一部異なる場合があるが、デッキまたはボトムなどの鋼板に複数電極を有する自動溶接機などで補強材を取付け、それらを組み合わせてたとえば10m×10m程度のブロックを製作し、そのブロックをドックに持ち込んで全体の組立てを実施する。ドック内の全体組立てでは、ポンツーン型浮体では、浮体自体の厚みが少ないことから変形しやすいため、製作精度の計測などは早朝など温度による変形を受けない時間帯を選定して実施することが肝要である。
メガフロート技術研究組合が実施した実験浮体では、浮体全体の厚さは2mであるが、超大型の浮体空港などでは厚さ約5m程度と想定されている。浮体の製造ドックまたはヤードの面積によって浮体の1ユニットの規模が決定されるが、平面規模は、超大型浮体を建造する場合、300m×60m程度とされている。
ドックで完成した浮体ユニットは、海上を所定の海域まで曳航され、洋上で接合される。洋上接合は、洋上の浮体を曳船・ウインチ等で引き寄せ、浮体に取付けられた治具を利用して固着し、溶接する。デッキ部は海上であるため治具の構造・固着作業は大きな問題無

 

 

 

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