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(8)水中トンネル

a)概要
海峡横断や島々を連絡する手段として、従来、船舶や航空機が利用されてきたが、これらは活用面で気象条件に大きく影響を受けることが多い。また、アクセス構造物として、既存の固定式橋梁(吊橋、斜張橋)や浮橋、海底トンネルでは、建設位置における自然の地形条件や地盤条件に大きく影響を受ける。これらの諸問題を解決する海峡横断構造システムの1つとして、水中トンネル(橋梁)が提案されている。
水中橋梁は浮体橋梁の構造形式の1つであり、浮体橋梁は海洋に設置される位置関係で、(a)海上に浮いたポンツーン型(浮橋)、(b)基礎部が海中に没した半潜水型浮体橋梁、(c)海中に没する水中トンネル、(d)躯体が海底に着座する海底軟着型トンネル(図-3.1.22)に分類される。

 

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水中トンネル型(c)、(d)は(a)、(b)に対し、風荷重の影響を無視できるが、船舶の通行面より、より水深が深く、また、係留索により支持するため地盤強度のより高い立地条件を必要とする。しかし、水深が深くなり過ぎる(60m以上)と、水中施工技術の開発が必要であり、極端には施工困難となる。水中トンネルについては国内並びに国外での構想案あるいは基本設計が数例あり、その1部を以下の項で紹介することとする。
b)国内における水中トンネル構想1)2)
我が国では、北海道/噴火湾口を連絡する水中トンネル構想(図-3.1.23)がある。この構想は北海道知事を会長として、産・官・学を構成員とした(社)水中トンネル調査会を平成2年5月に設立し、実現を目指したケーススタディが行われている。規模は砂原〜室蘭間約30kmのルートを、水中トンネルで22km(テンションレグ方式:12km、架台方式:8km、沈埋方式:2km)、固定式橋梁で7km、その他の構造形式1kmとし、途中には4基の換気塔が設けられる。また、橋梁と水中トンネルとの接合部には人工島が築造され、各種施設は多目的な利用が図られるよう考慮されている。水中トンネルの上方へのクリアランスは25m(最大喫水)+5m(余裕)=30mで、支持構造はテンションレグ(係留索)方式を基本とし、海底

 

 

 

 

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