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(4)大阪湾ベイエリア人工島構想1)2)

a)構想の概要
大阪湾は古来より都と瀬戸内海を緒ぶ物流の要点として栄え、近年は更にその沿岸域は東京湾と並び、我が国を代表する港湾・産業の集積地域として近畿経済圏の中核の役割を果して来た。そして、大阪湾の開発・整備の方向は「すばるプラン」(1987年3月、国土庁他)並びに、第四次全国総合開発計画(1987年6月、国土庁)等で多核心型地域構造の特性を考慮に入れた高度分積都市ネットワークの形成を目指した「ベイエリア・トライアングル構想」や「大阪湾環状都市構想」が提案されている。その流れの中で、その後、「大阪湾ベイエリアグランドデザイン」(1991年4月、大阪湾ベイエリア開発推進協議会)、「オーバルビジョン2025」(1991年7月、大阪湾長期構想懇談会)、「マリン・コリドール」基本構想(1993年4月、(社)国際海洋科学技術協会)等においても広域的利用方向が示されている。
国際化、情報化、都市化という多様・多次元化した価値観の大きな流れを踏まえ、日本鋼構造協会関西地区委員会は、大阪湾の「多価価値空間化」を目指した「環状都市郡形成に向けて、21世紀への夢を盛り込んだ利用方向」の提案を行っている。その提案は都市機能集積の著しい湾奥部と自然環境に優れた南部域とに分離される湾沿岸部の特質に注目し、大阪湾を楕円図形と見なしたときの焦点(Focus)部に各沿岸部の要となる拠点空間(Focus A・B)を構築する構想である(図-3.1.9及び図-3.1.10)。即ち、
・中央部海域(Focus-A):高度都市空間ネットワークを形成し、要として沿岸都市活動の新しい活動の場となる機能を導入
・南部海域(Focus-B):高質リゾートネットワークを形成し、その地域の新技術開発・研究の場となる機能を導入
これらの拠点は大阪湾環状リングとネットワーク化を図り、大阪湾環状都市構想の中核拠点を形成するものと期待される。そして、その建設には、工期として最大15年、使用鋼材648万トン、使用コンクリート917万m3,総工費約5兆円が見込まれている

 

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