日本財団 図書館


e)マリーナ用浮桟僑
国民の余暇利用の多様化に伴い、海洋性レジャーの伸びが著しく、とくに、ヨット、プレジャーボートなどの係留施設を備えるマリーナの整備が強く求めれらている。マリーナ用桟橋として、コンクリート浮体構造物もその耐久性、低廉などの理由により数多く用いられるている。これらはすべて民間において開発された技術であり、かつ広く普及活用されることが求められるところから、運輸省においては、平成3年および4年の2回にわたり、合計29種のプレキャスト製プレジャーボート用浮桟橋について、構造および係留の安全性、耐久性、動揺特性と使用性などについて技術評価を行い、運輸大臣の評価証を与えている。これらのうち、コンクリート製のものは13例である10)。
以上は、係船岸であるが、一点係留ブイとしてCALM、SALMがあり、原油タンカー用バースとして利用されている。海外では、これらの形式の外アーティキュレイティッドコラムなどがあるが、たとえば北海では水深140mの海域で波高5m程度までの係留が可能であると言われている。

 

(7)浮体橋梁(フローティングブリッヂ)

近年、沿岸域の開発において沖合人工島などの建設が進められている。この際、人工島と既存の陸地を結ぶ交通手段の整備が必要になる。多くは道路であるが、鉄道、新交通システムも採用される。交通手段の構造様式としては、橋梁やトンネルがあるが、大型船を通す場合には、橋の桁下空間は大きくなり橋は大型化する。また、沖合人工島などの建設海域は大水深でかつ軟弱地盤のところが多い。このようなことから、浮体橋梁すなわちフローティングブリッヂがアクセスの構造様式として注目されている。
アメリカ、カナダやトルコなどで本格的な道路橋として供用されている。ノルウェーでは、最近ベルグソイ(写真-3.1.7)およびサルフス(写真-3.1.8)に、橋長がそれぞれ、845mおよび1246mの平面アーチ形状のセパレート型浮体橋梁が完成している。我が国においては、目下のところ、そのような事例はないが、後述するように、大阪市の夢洲と舞洲を結ぶ橋長430mの浮体橋が、平成8年度に着工され平成13年度に完成の予定である。ここでは、これまでに実施された架設道路などの二三の事例を紹介する。
羽田沖埋立てに架設浮き桟橋が用いられた。これは、長さ22m、幅8m、高さ1.5mの鋼製台船25基を、短手方向が走行車線軸となるように並べ、各台船の中央に設けた支承の上に桁を渡して架設道路としたものである。浮体道路の有効長は184m、トラック走行車線幅は8mで、最大8台のトラックが最大10km/hで走行する。設置海域の水深は-4mで、浮体は左右3箇所でワイヤロープとアンカーで係留される。
茨城県久慈群大子町の鷹彦スリーカントリーゴルフ場の8番ホールにある池を波るPC構造の浮き橋は、橋長56.37m、幅4.0mの歩道橋である。コンクリートの補強には鉄筋やPC鋼材を全く使わず、FRP(繊維強化プラスチック)製の補強材を採用し、耐久性を高めている。このPC浮き橋は、6基のプレキャストPC函体を連結し、PC函体上にステンレス性の角パイプを橋軸方向に5本敷き並べ、さらにこの上に木製床板を橋軸直角方向に敷き詰めたものである。プレキャストPC函体は高さ1.0m、幅3.0m、標準長7.66mで底がなく、発泡スチロールが函体の空洞を埋めた構造である。
このほか、研究開発が進められているものに没水平板型浮き橋がある。この浮き橋は海面下に設置された平板、すなわち没水平板の上下面の流速の相違を利用して、平板上面を通過してくる波を消波するものである。平板は鋼管杭で支持される浮体であるが、海底に

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION