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III.国内調査報告編

III-1我が国の浮休橋遺物の現況と展望

1.既往の建設事例

(1)洋上プラント

洋上プラントは立地場所に建進のための設備、要員等がない場含に、プラントをモジュールとして製作して、これを台船などに搭載して現地に曳航し設置する。ブラシルのパルププラントはこの事例である。また、プラント船として現地に係留するものもあり、この例として、インドネシア沖のLPGプラントなどの事例がある。このほか、熱海市が建造した下水プラントは、ドライドックにおいて鋼殻コンクリート構造の本体を製作し、現地に曳航、注水して据え付けたものである。
(2)洋上石油備蓄基地施設

洋上貯蔵施設として代表的なものとして石油備蓄施設がある。かつて、橘湾のタンカー備蓄が実施されていたが、1984年から長崎県上五島地区(写真-3.1.1)および福岡県白島地区に本格的な洋上石油備蓄施設が建設されている。これらの施設は390m×97m×27.6m程度の規模の鋼製タンクをドルフィンに係留するものである。貯蔵船は荒天時には波と風の作用を受けるが、ドルフィンに設置された高性能の定反力型ゴム防舷材の特性を利用して漂流および動揺を抑制する。写真-3.1.1洋上石油備蓄基地施設(長崎県上五島地区)

 

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(3)海上レストランおよび展示施設

現役を退いた商船等を係留して、レストラン、展示施設、ホテルなどとして利用するもの、あるいは、新たにその利用目的に沿った浮体構造物を建造して係留するものである。前者の例として、観測船宗谷(東京港)、ふじ(名吉屋港)、ぶらじる丸(烏羽港)、オリアナ号(写真-3.1.2、別府港)、すかんじなびあ丸(沼津港)などがある。また、後者の例として、アクアポリス(沖縄県)、境が浜マリンパーク(尾道市)、呉フェニックス(呉市)などがある。海外では、オーストラリアのグレート・バリアー・リーフに設置された海上ホテルがある。このほか、構想として、長崎海上浮体ビル、熱海海上コンベンションセンターなどがある。係留には大型のゴム防舷材、チェインなどが用いられている。

 

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