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3.Det Norske Veritas

 

(1)概要
DNV(Det Norske Veritas)は、海運国ノルウェーの船級協会として1864年に設立され、保険業者に代わって船舶の証書の発給を行うための図面審査業務や建造中・稼動中の検査業務を主に行ってきたが、現在では船舶のみならず、海洋構造物に関するあらゆる問題についての研究開発を行う、ノルウェー最大のエンジニアリング研究機関という性格を備えるに至っている。
DNV Industryは、DNVの傘下で、品質の向上と人命・財産や環境の被害を最小化するために、技術上または経営上のサービスを行う、工業に関する公的機関である。主要な業務の内訳は、以下の通りである。
・テクノロジー&エンジニアリング 54%
・安全、品質および環境に関するコンサルティング 16%
・検査および審査 27%
・その他 3%

 

また、工業技術とエンジニアリングの分野においては、Veritecという名称で営業活動を行っており、新しい設備の設計、既存の設備の改良設計、海上や海底域を含んだ海洋分野における作業基地の開発、構造物やパイプラインの設計および技術審査を包括しており、材料分野における疲労調査や実験室における各種試験を含むコンサルティング業務も行っている。
Veritecの狙いは、技術開発を通じて得た知識を、実際の業務の設計や認証に役立て実践するところにある。ノルウェーにおける1970年代前半からの海底油田の開発以来、専門的な技術サービスを行っており、その領域は設計・技術規準制定・審査・調査研究から試験検査といった多方面にわたっており、海洋工学に関する知識と技術と経験が浮体橋や一般の橋梁の分野にも生かされている。
Veritecは本社がオスロにあり、スタヴァンガーとベルゲンにも事務所がある。親会社はDNVとBrown&Rootで、世界的な専門知識と最新の技術のソフトを提供しており、高度なサービスにより、広く世界中にわたって利用者の便宜を図っている。

 

(2)浮体橋に関する技術討議
DNVにおいてノルウェー公共道路庁のJohn H.Gustavsen氏や浮体橋の設計に従事したDNVのLandet氏たちとBergsoysund橋の工事ビデオを見た後に、浮体橋の技術や設計に関する意見交換を行った。
ノルウェーはフィヨルドが多く、海岸線の水深が深くて通常の橋梁形式では制約が多いが、浮体形式では非常に経済的に架橋が可能である。
浮体橋の建設コンセプトは、1979年の北海油田の発見以来、研究開発を進めて大型プラットフォームやテンションレグを建設してきた海洋技術を活用して、1980年代よりフィヨルドを結ぶ橋梁として立案され、各種解析や実験を行ってきた。当初の計画では、アメリカに数多く存在する連続ポンツーン方式であったが、水深が500mもあるフィヨルドでは係留が難しく、平面線形に曲線を用いてアーチアクションにより波力に抵抗する方式を開発して、無係留の分離型ポンツーンと連続形式の上部工を組み合わせた、ノルウェー独自の浮体橋を実現させた。

 

 

 

 

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