2.平成8年度実態調査集計結果の概要
(1)従業員数の推移(平成7年→8年) ●従業員数は横這い 従業員数を回答512社の総従業員数べ一スでみると、平成7年の22,261人に対して平成8年7月の調査時点では1%増の22,477人とほぽ横這いである。技術員・工員数べ一スでみても同7年比で1.1%増とほぼ同率となっている。 また、総従業員べ一スでの増加・減少を企業数で対比すると、増加35%:減少36.1%:増減なし28.9%である。 わが国の船舶建造受注は為替レートの反転・落ち着きを反映して量的には平成6年度に続いて7年度も1,000万トンの大台を確保するなど好調に推移しているが、船価レベルは依然として低水準が続き、先行き受注価格の早急な値戻しが期待できないこともあって企業は人員増に慎重な姿勢を崩していない。 (2)売上高の推移(平成6年度→7年度) ●減収続きから横這いへ 平成7年度の売上高は平成6年度に比べ全体平均で103.4%と3.4ポイント増加しているが、単価・価格の下落で平成4年度をピークに前年比で減収を続けてきたことを振り返ると、回復傾向というには程遠い。円高が一段落したことを映してようやく減少に歯止めがかかったと見ることもできるが阪神淡路大震災の影響により近畿地区の売上が大きく落ち込んでいたことを考慮するとせいぜい横這いとみるのが妥当なところではないか。 売上部門別の集計を見るかぎり、造船関連での売上の伸びはごくわずかに過ぎず、主として造船以外の増収に支えられたものであることが明らかである。造船部門については豊富な仕事量とは裏腹に受注価格の低迷が続いていることが分かる。 (3)平成7年度の経常損益 ●前年度比“悪化”50%“好転”45% 全体では前年度より損益が悪化した企業は50%、好転したものは45%で、“悪化”は昨年調査(72%)と比較して少ないものの、受注価格の下落、採算割れの状況が続いていることを示している。 (4)過去1年間の設備投資 ●構外・兼業企業は設備投資をした企業は314社中56% 平成7年調査では過去1年問になんらかの設備投資をしたと回答した構外・兼業企業は54.3%、今回調査では58.6%である。 投資額をみると、参考データながら1社平均は前年調査で大幅な伸びを示しているものの、主として舶用比率の低い一部の構外企業で5千〜1億円を超える大型投資が増加したことによるところが大きい。ただ、構外企業などの一部の限られているとはいえ企業マインドが省力化・生産性向上など前向き投資に向かいつあるといえるのではないか。
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