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の3本柱で三重県の劇場技術について話し合いをしたり、研修会を持ったりしています。
また、最近の傾向として、ビルメンテナンス会社や看板装飾屋が舞台に入ることが多くなってきましたので、予め技術者協会に入ってもらって、様々な公演に参加してもらっています。ところで、私どもの劇場ではアマチュアが仕事をすることができません。そのため、舞台で仕事をするためには、あらかじめ舞台課で発行されたバッククルーパスポートを持っていないといけません。これは、その技術員が3年以上の経験があるか、または、相応の技術能力を持っている人かどうかということを把握し、アマチュアには仕事をさせないためで、そのことについては予め知らせてあります。さらに、危険な作業は許可を受けなければならないことや、舞台監督が指名されていないと公演できないことなどが、バッククルーパスポートで告知してあります。パブリックホールでは、主催者に対し危険な事態に関しては、すべて予め告知しておくことがとても大切なことなのです。このようなことを考えますと、私は舞台では専門家に仕事をさせるということを大事にしていくべきだと思います。
例えば、シューティングタワーを使った照明の正しい合わせ方について、皆さんに知っていて欲しいと思います。まず靴は絶縁靴を履くこと。また、高所作業のためヘルメットをかぶること。それから、腰に安全ベルトを締め綱をかけること。次に、目的地で4角の足を出し、それから上げます。数台合わせて降り、足を閉じ、次の目的地に移動します。これを繰り返すのです。これでは仕込みに大変時間がかかり、このような方法で照明を合わせているパブリックホールはないでしょうが、本来はそうしなければならないのです。大音量を出すロックのスピーカーの積み上げや、持ち込み機材の漏電の確認も同様です。ただ、住民のニーズに答えるためには、様々な公演をしていかなければなりませんから、本当はそうしなければ安全ではないということを理解した上で、舞台の作業をしなければならないのです。知らないまま作業をしているのとでは大きく違います。私も何度か危険な目にあいました。それほど劇場という所は危険なところなのです。その上で、パブリックホールが果たす役割を考えなければなりません。
劇場がいろんな規制を作るだけ、その劇場は賑やかではなくなります。規制を作るかわりに、どう安全に劇場を管理していくかが大事なことなのです。様々なホールがあり、様々な管理の方法があると思いますが、劇場というところは何をしてもよい空間であることをわかっておいて欲しいのです。そして、どのようにして観客に感動を与えられるかを考えることが、住民のニーズに応えることになるのではないかと思います。

 

 

 

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