
(2)講義・研修
照明係としての心得 講師(社)日本照明家協会北海道支部
事務局長大野頒
1 舞台照明とは
○舞台上におけるあらゆる光の効果が照明の仕事
例えば、明かりをつける、消す。町並みの遠景に灯が点る情景であれば、それに合わせた照明器具のセットなど、配線から電球の取り付けまでのすべてが照明係が仕事である。
○舞台というカンバスに光という絵の具で絵を描く
どのような絵の具(器具)でどのような色(カラーフィルター)を使って絵にするかという技術的要素と芸術的要素が求められる。
2 舞台照明の4つの要素
○視覚
演出の総意を正しく観客に伝えることが必要です。光の質や量によって観客に見せるシーン、見せないシーンなど演出の総意を正しく表現することが大切です。
○写実
舞台上で現実を表現することは不可能ですから、現実らしく見せなければいけまん。これを照明による写実といいます。例えば「真昼の太陽が燦々と輝く広場」であれば、太陽を舞台上に取り入れることはできないので、それらしきものを何らかの形で表現する必要があります。現実をそのまま提示しても、舞台上の事象が現実らしく見えるとは限りません。
○審美
例えば、朝焼けや夕焼け、月の光など自然の色によって人間は風景の美しさの感じ方が異なります。舞台を美しく見せるための光の与え方を間違えると美しさの表現はできません。舞台上の物に美しさを与えることが照明家の仕事です。これを審美といいます。
○表現
表現とは、心理的な要素を照明で表現することです。
光の見せ方には、
(1)色光による方法(光の三原色)
(2)光の強弱による方法(コントラスト)
(3)光の方向による方法(順光、逆光、側光、あおり)があります、
3 演出と照明
作品に対する演出方針の理解とは、この作品で何を表現したいかを演出家と話し合い、理解することが必要です。
「何ができないかではなく、何ができるかを考える。」
時間や機材の制限、技術上の問題や危険に対する配慮などの問題を乗り越えることが大切です。
「この作品は良かったと言われることがベスト」
照明が良かったねと言われることより、作品が良かったと言われなければいけま
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