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6−2−2構成的グループ・エンカウンター、PLTと環境教育

大関健道(野田市立福田中学校)

 

1 はじめに
私は中学校の現場で、「理科の教師」として、また「学級担任」として、それぞれの立場からこれまで環境教育に取り組んできました。
「理科の教師」として、環境教育の視点から理科の学習・授業を組み立て、実践をしたこともあります。しかし、ここ7〜8年間は、「学級担任」として、学級の子どもたちの「人間関係づくり」を促進したいという思いから、『構成的グループ・エンカウンター』を用いての学級風土の耕しが、私の実践の中心になっていました。
ここでは、『自分自身をたいせつにでき、自分のまわりの人のこともたいせつにできるひとが、地球をたいせつにできる!』という考えのもとに、実践してきた構成的グループ・エンカウンターによる人間関係づくりと、PLT(Project Leaming Tree=木を通した環境教育プログラム、木と学ぼう)による環境教育について述べたいと思います。

 

2 構成的グループ・エンカウンターによる環境教育の基盤づくり
2−1 環境教育の基盤としての「人問関係」づくり
(1)構成的グループ・エンカウンターとその目的
國分康孝1)によれば、『「エンカウンター」とは、「出会い」「心とこころのふれあい」「本音と本音の交流」という意味である。つまり「裏腹のない人間関係」のことである。グループ・エンカウンターはアメリカで生まれ、日本には1960年頃から導入された心理学的グループ・アプローチである。参加者相互の人間関係を深め、集団での体験(エクササイズ)による自己の人間的成長を目的としたものである。』
すなわち、『構成的グループ・エンカウンター(Structured Group Encounter以下SGEと略称します)』は、エクササイズとよばれる活動・体験を通して、メンバーの「相互信頼感」の醸成と「自己開示」を軸として、「自己理解」「他者理解」→「自己受容」「他者受容」の促進を図るためのグループ・アプローチの一つなのです。もう少しわかりやすい表現でいえば、人と人とが、互いの良さや違いを理解し・認め合えるようになり、お互いが自分自身のこと(感情、思考・価値観、事実)をオープンにできるようになることが、SGEの大きなねらいです。
これまでのSGEの学校教育における実践・研究によれば、学級集団や生徒一人ひとりにおよぼす効果として、次のようなことが確認されています。
?@学級集団の「凝集性(まとまり)」が高まる。
?A学級の仲間との「人間関係」が改善、向上、拡大する。
?B対人不安や緊張が軽減される。
?C生徒一人ひとりの「自尊感情(セルフ・エスティーム)」や「学級適応感」が高まる。
?D「学級風土・学級雰囲気」が温かく受容的なものになり、学級への「帰属意識」や仲間同士の「信頼感」が高まる。
?E受容的な人問関係および信頼感の高まりによって、「自己開示」が促進される。
?F自己の価値観・生き方が明確化される。

 

 

 

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