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第6章 環境教育実践

6-1 小学校

6−1−1クロスカリキュラムを目指して

石井信子(千葉市立大椎小学校)
1 はじめに
私が本気で環境教育に関心を持ち始めたのは2年前のことです。エゴマインドの講座を受講したのもほぼ同時、ネイチャーゲームの存在を知ったのもこの頃です。私は環境教育を「環境に対して自分もその一員であることを認識し、主体的に関わり働きかけていく力を育てる」ことだと考えています。そして「人と人、人と自然との関わりつまり共生を大切にする教育」だと思うのです。
私が勤務していた前任校は、国際理解教育を研究していました。国際理解教育も、これからの国際社会に生きる子どもたちにとって文化を異にする人々との共生を大切にする教育です。自分の身の回りの人々を含めて社会や文化を異にする人々、それらの共通性、独自性を認め合い人間同士が理解し助け合っていく力を身につけさせていくことが「生きる力」となると考えます。
これからお話することは、3年生から持ち上がった子どもたちとの2年間のささやかな実践です。21世紀を担う人間性豊かな子どもを育てるため、環境教育と国際理解教育をどう教科等に結びつけて指導していったらよいのか、どんなテーマで教科や道徳、特別活動をクロスさせ単元を構成していったらよいのか、このささやかな実践を通し考えてみたいと思います。そしてクロスカリキュラムはどんな効果を生むのか、課題は何か私なりの答えがでればと実践を振り返ってみようと思います。
2 なぜクロスカリキュラムなのか
クロスカリキュラムとは、「教科等をつなぐカリキュラム」であって、あるテーマに基づいて接近した教科等の内容をまとめ数時間の学習活動として単元的に構成するものであると、言われています1)。
環境・国際理解教育などの新しい課題への対応は、教科内容だけの指導ではそのねらいを充分達成できないのではないかと思います。
私の学校では国際理解教育を日常的に進められるように、各学年ごとに指導計画を作成しました。日常化するにはこれが一番よいと思いますが、それだけでは細切れの指導になり、「生きる力」の育成には結びつかないと思います。生活の中から自ら課題を見つけそれを教科に結びつけ、自分の行動にまで高めていくには、教科の中だけにとどまらず環境や国際理解、人権教育などからテーマを決めそのテーマに近い教科等の内容をまとめ一つの学習活動として構成する、クロスカリキュラムが必要だと考えました。
次に具体的な例を挙げながら、どのように教科等を組み合わせ構成していったのかお話します。
3 具体的な実践例
3−1 交流を中心にした体験学習最初に2年間継続して行なった交流を中心にした体験的な学習についてお話します。
交流の中心は町内に住む老人会の方々です。
その他父兄の方と、親子学区清掃を行ったり手話を教えてもらったりしました。福祉講話を通し身障者の方と交流もしました。また社会科の学習で国際電話を使い外国の様子材し

 

 

 

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