
第4章 参加体験型の学習方法
小川かほる(千葉県環境財団)
参加体験型の環境教育プログラムでよく用いられる学習方法を次に紹介します。これらの実践方法については、成書1〜8)を参考にして下さい。
4−1 アイスブレーキング・ふりかえり・わかちあい
初めての人に出会うとき、人はどうしても緊張します。「アイスプレーキング」とは硬い氷を打ち砕くように参加者の緊張をときほぐし、ともに学ぶ関係をつくり、次の活動の準備(ウォーミングアップ)とするものです。
学年の始まりにこの活動を実施すると、クラスづくりがうまくいくと思われます。また、慣れ親しんだクラスであっても、引き続き行われる活動の導入として、生き生きとした学びが可能になります。
アイスプレーキングとしては、コミュニケーションゲーム(後述)のように参加者が気軽に話し合える活動や、五感をつかう活動がよいと思われます。ある程度の親近感ができているような場合は、体がふれあうゲームのようなものだと、とても楽しい活動となります。
活動を行った後は、必ず活動の過程を見直し、自分自身が気づいたことを整理すること(ふり力)えり)が重要です(図1,2ふりかえりシート9))。このことによって、体験を通して得られた気づきから真の理解へと学びが深まっていきます。
自分自身をふりかえった後、グループ内で各自が気づいたことを話し合う(わかちあい)時間をとることが重要です。このわかちあいにより、自分自身の考えと異なる人がいるということ(価値観の多様性)に気づいたり、他の人の考えに触発される体験を通して、ともに学ぶ関係をつくりあげるのです。
話し合うグループは4〜6人程度が適当のようです。そして、最後にはグループ内で話し合ったことを、グループの代表者がクラス全体に発表して、クラス全体の学びとします。
このように、参加体験型の環境教育の活動においては、自分自身の意見を述べ、課題達成のためにグループ内の意見をまとめるために討論したり、それを発表するときなど、さまざまな場面でよく話します。人は言葉に出すとき、よく考えることができます。そして、他者から質問を受けたり反論を受けることによって、自分自身の考えが深まっていくのです。このようなことからも、自分の考えを話しても、みんなに受け入れてもらえる雰囲気づくりが大切となってきます。
4−2 合意形成(コンセンサス)
私達の生活には多くの意見の対立があります。特に、環境間題に関しては、価値観の違いから「開発か保全か」といったようなともに相いれないかにみえる対立が存在します。しかし、私達は意志決定をする際には、必ず何らかの選択をしなければならないのです。
集団が意志決定をする際、集団の構成員全員の合意に基づく、意志決定のことを「合意形成(コンセンサス)10)」といいます。
環境教育プログラムでは、指導者の一方的な講義よりも、参加者同志が意見を交換しながら、グループ内の意志決定をするプロセスを体験することがよくあります。このような形式を「コンセンサス実習」と呼びます。コ
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