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第1章 本書のねらい

小川かほる(千葉県環境財団)
春 道ばたのたんぽぽの花が風にゆれているのを見つける。
梅雨 傘に当たる雨音を聞く。
夏 汗をかく。
秋 食欲に食べないと生きていけない自分に気づく。
冬 お日様の暖かさ。

 

日本では、たとえコンクリートジャングルの都会であっても、自然に対する豊かな感受性を身につけると、四季のうつろいのちょっとしたことにでも楽しみを発見することができるのではないでしょうか。自然に対して心を開くことができると、私たち人間の生活が多くの生きものに支えられていること、地球上にあるすべてのもののつながりの中で営まれていることがわかってくるでしょう。そうして、この地球上に共に暮らし、人間の生活をささえてくれる多くの生きもの達のこと、これからうまれてくる私達の子孫のことを考えることができるようになります。
今の私たちの暮らしと社会を見つめなおしてみると、「人口問題」「食糧問題」「エネルギー問題」そして「環境問題」と大変重要な問題が複雑にからみあって発生していること、それらの問題の原因は人間の諸活動であることに気づきます。これらの問題、特に現在の地球環境問題を始め様々な環境問題の解決のためには、自分自身の生活や社会のしくみを理解し、自分白身のライフスタイルを変え、社会の変革に参加できる人が必要です。
このような人を育てることが、環境教育の目的であると本書は考えています。子どもたちの環境教育の場としては、家庭や地域が大切な役割を担っているのはもちろんですが、活動時間の多くを費やし、様々なことを学ぶ場である学校が重要となってきます。
文部省は環境教育指導資料(中学校・高等学校編1991年、小学校編1992年)を発行し、環境教育を学校現場で教科を超えて導入する必要性をのべています。1996年の中央教育審議会の答申では、子供たちに「生きる力」をつけることが教育の目的であり、環境教育が必要であることが指摘されています。
千葉県では1993年から「千葉県エコマインド養成講座」を、千葉市では1995年から「千葉市環境学習指導者養成講座」を、学校教員および一般の方を対象として開催しています。千葉県環境財団はこれらの講座の企画・運営を委託され事業を行っています。これらの講座は、主に参加体験型の環境教育プログラムを紹介する講座ですが、後述(第3章)するように、これらのプログラムは子どもたちの経験の中から、子どもたち自身の気づき(学び)を引き出し、自らを変革する力を友達や先生との対等な関係の中で、自分自身で身につけることを目的とする新しい学習です。しかし、この講座に参加する先生方の中には、知識伝授型ではないプログラムに戸惑われ、教育現場で実践できるかどうか危ぶまれる人がいらしゃるのも事実です。
また、千葉県が発行した参加体験型環境学習プログラムを紹介した「千葉県環境学習ガイドブック」および千葉県の環境および地球

 

 

 

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