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告もある。著者らの検診では、局所的な拡張や1.5倍以上の拡大を認めたものはなかった。大動脈径30mm以上症例は43例(1.7%)にみられたが、いずれも近医で現在厳重なフォローアップ下にある。
ASO検診の報告は欧米でも少なく、その発見率は0.2%となっている。今回の検討では受診者2,514人中7人(0.3%)にABPIの低値を認めた。今回の検討で発見率が比較的高かった理由としては、村象年齢が平均71歳と、Walshらの報告(平均35歳)と比較し平均年齢が高いことがあげられる。
AAAと比較し、検診におけるASOの発見率は低い。ASOの生命予後も比較的良好であるため、検診の意義はそれ程高いとはいえない。しかし、ASO検診によって冠動脈疾患や脳血管疾患などの早期発見・治療につながる可能性も考えられ、それは患者のQOLを改善することに結びついていく。さらに、ASOはAAAの危険因子にもなり得る、それ故、ASO集団検診の意義は決して低いとはいえず、今後は効率面を考慮して、AAA検診や一般住民検診と同時に行うことが望ましいと考えている。
背景因子の検診においては、動脈硬化の危険因子として高齢、男性、高血圧、喫煙、冠動脈疾患、脂質代謝異常、肥満などがあげられる。今回の検診では、全対象者における高血圧及び脂質代謝異常の罹患率はそれぞれ32.3%、25.5%であった。他の報告1)と比較し、その頻度は比較的低かった。これは欧米と日本における食習慣の違いもさることながら、今回の実施地域が山間僻地であり都市部と比較し野菜、魚などを主体とした食生活によることが加味していると考えられた。また、男性947人に対し女性1,567人と男女数に偏りがあるが、これは未受診男性の大半が就業のため受診できなかったと考えられる。
本邦におけるAAA及びASO症例はこれからも増加していくと思われ、本集団検診は今後も重要な役割を果たしていくものと確信している。今回の反省点として、発見率、効率面、対象者の偏りなどを考慮すると、対象者の選択(危険因子を有する住民)や検診を実施する場所・時間帯(男性受診者の確保)などの工夫が必要と考える。
VI.結論
1.AAA及びASOの報告率は男性で高かったが、欧米での報告では70歳以上の女性の剖椥列でのAAA罹患率は同年代の男性と同率であることから、男性だけでなく女性での検診も続けるべきと考える。
2.本検診をより効率よく実施する上で、対象者の選択や検診を実施する場所・時間帯などを考慮するべきである。
参考文献
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