方法
今回対象とした群馬県北西部K地区の総人口は190名で、60歳未満が83名、60歳以上が107名であった。一般健康診断に参加した地域住民は30歳から89歳までの141名(男性54名、女性87名)で受診率は74.2%であった。このうち60歳以上の高齢者は97名(受診率90.7%)で男性35名(71±7歳)、女性59名(70±6歳)であった。全例痴呆はなく、あらかじめ検査への協力の同意を得た。
採血は午前中の空腹時に行い、血清コレステロール(総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール)、血清α2Mおよびクエン酸採血の血漿PAI-1を測定した。α2M値の測定は酵素比濁法によった。PAI-1値の測定はモノクローナル抗体を用いたELISA法によった。アポE表現型は市販のキット(常光社、東京)を用い等電点電気泳動により同定した。アポE表現型はE2/2,E3/2,E3/3,E4/2,E4/3,E4/4で表し、アポE遺伝子型(ε2、ε3、ε4)の各頻度を計算した。なおアポE表現型とα2M値は141名全員で測定したが、コレステロール値は85名、PAI-1値は71名のみ測定した。
統計的検定:血清コレステロール値、α2M値、PAI-1値とε4保有の有無による群間の差は両側Student's-t検定によった。
結果
I.アポE表現型とアポE遺伝子頻度
アポE表現型分布はE3/2型9.2%、E3/3型68.8%、E4/2型0.7%、E4/3型20.6%、E4/4型0.7%であった(表1)。アポE遺伝子頻度はε2:0.05、ε3:0.84、ε4:0.11で、ε4保有者(E4/2型、E4/3型、E4/4型の合計)は31名(22.0%)であった。男女差はなかった。
高血圧を有する者は32名で、E3/2型2名(6.1%)、E3/3型21名(63.6%)、E4/2型1名(3.0%)、E4/3型7名(21.2%)、E4/4型1名(3.0%)でε4の遺伝子頻度は0.156とやや高かった。狭心症と糖尿病を有する者が各1名認められたがいずれもE3/3型であつた。
図1は対象を10歳ごとの年齢層にわけ、各年齢層でのアポE遺伝子頻度を性別にわけて示したものである。ε4遺伝子頻度は60歳代で男女ともおのおの0.063,0.069と最も低かった。ε4遺伝子頻度は70歳以上ではむしろ高く、特に80歳以上の男女合計9名のうち3名(33%)がE4/3型でε4遺伝子頻度は0.17であった。
II.ε4保有の有無と血清コレステロール値
ε4保有群とε4非保有群とでは血清総コレステ
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