III. 方法
はじめに、本法を導入するにあたり自治医科大学小児科学教室、松井陽氏の承諾を得て、同氏らが使用しているものと同じカード(図2)を使用すること約束したうえで、同氏の御好意から無償で郵送していただいた。
方法は産科退院前の母親への育児指導の際に、カードを利用する同意を得た上でカードの使用法と簡単な本症の疾患概念を主に助産婦が説明した。1ヶ月健診の2,3日前に母親が児の便色とカード上の便色を比色し、カードに該当する番号を記載して1ヶ月健診時に持参してもらった。
lV.成績
異常な便色を示したのは女児1例であった。直ちに児の便を持参してもらい、正常便であることを確認した。その後も異常便色の訴えはなかった。正常便色のうち、5番と6番の色が多かった。健診時にカードを忘れた場合でも予備のカードを見せ、それらも全て正常便色であった。健診後も異常便色を訴えるものはなかった。
V.アンケート調査結果(図3)
(1)普段赤ちゃんの便の色は気になりますか
68%の母親が、時々〜常に注意していると答えた。
(2)胆道閉鎖症という病名について
本症について88%の母親が疾患名だけでも知っていると回答した。
(3)(2)で2または3と答えた方へ。この病気について関心はありましたか
何らかの手段で本症の疾患名を知った母親のうち、91%の者が興味・関心を抱いていた。
(4)便色調カードの利用について
全員がカードは役に立ったと回答した。
(5)(4)で役に立ったと回答した理由として、便色の大切さがわかった、便色を判断する良い目安となったとの回答が最も多かった。
VI.考察
1987年以降、母子手帳の1ヶ月健診のぺージに「便の色は何色ですか」という項目が加えられ、1ヶ月健診で多くの患児が発見されるものと期待された。しかし、健診時に母子手帳に便色を記載していない例がよくあり、実際は淡黄色なのに黄色と記載したり、健診時に黄疸を認めても担当医が便色調の確認を怠っていた例が多いことから、松井らは1ヶ月健
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