うがその使用頻度も激減した。また明らかな腸管癒着例を除いて、深部腸管への到達が容易となり、盲腸到達率の向上がはかられた。これらの第一の要因は、関岡らも指摘しているようにサブマリン法では挿人時の送気がほとんどないため腸管の過伸展がきわめて少ないせいであろう。それゆえ、当院のように彼験者に比較的高齢者の多い施設では、本法は送気を主体とした従来法に比し高齢者の腸管への負担が少ないという意味で適していると考えられる。これらの実現段階では体制が軌道にのるまでいくつかの問題点が見られた。
一つにはサブマリン法に対するスタッフの理解と習熟に多少の時間を要したこと。第2に、サブマリン法そのものが挿入まで時間を要する手技であることから、ポリペクトミーも行った場合長時間検査となりやすいこと。挿入時間のみで考えても、従来法では術者によって差があるにしろ10分前後が平均であるのに対し、サブマリン法では関岡らの報告で21〜23分、当院でも平均27分と約2倍挿入時間を要している。特に当院での検査件数が増え、当院でのCF対応能力の限界に近づきつつある現在ではサブマリン法での検査/処置時間の短縮が今後の課題となっている。しかしながら、今回の検討/改善により、当町での大腸精査率の向上ひいては当院でのCF検査件数の増加が認められたことから、当町と同様の医療環境にある僻地医療機関においてサブマリン法による大腸精査法は有用と考えられた。
V.謝辞
サブマリン法の導入に際しては、新日鉄総合病院消化器科長野尻秀一博士および内視鏡スタッフの御指導、御助言を頂いた。この場を借りて感謝申し上げる。
参考文献
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