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なっている。復路は、道警89分間、自衛隊ヘリコプター66分間、自衛隊飛行機52分間である。利尻島での離着陸には空港を利用する。航空機到着後の患者収容平均時間は8分間であった。

要請時間別・飛行決定までの所要時間(図4)

道警の飛行の90%は、要請から240分間以内に離陸している。要請から離陸までの平均所要時間を時間帯別で見ると、午前6時から午後6時までの日中は88分間、午後6時から午前6時までの夜間は181分間となっている。
この時間帯による所要時間の差は、道警が有視界飛行を前提としていること、および夜間は関係機関間の連絡がとりづらくなるため、飛行決定までに時間がかかることによるものである。

自衛隊の飛行決定は、道警の飛行断念後に再度、天候調査・飛行準備を始めるため、道警よりも時間がかかり、それぞれ177分間、230分間となっている。道警、自衛隊いずれも離陸までに300分間を超える場合の多くは、悪天候によるものであった。

要請時間別・利尻島到着までの時間推移

航空機搬送は、依頼時間や天候に左右されることが多い上、利尻島は遠距離のため飛行時間が多くかかる。図5は、最近1年間の搬送10例の、天候調査、飛行準備時間(離陸または要請変更までの時間)と利尻島までの飛行時間を、要請時間順に検討した経過表である。
この後さらに、稚内空港までなら平均18分間、丘珠空港までなら50〜90分間の飛行時間がかかる。その上、図からもわかるように、飛行時間だけでなく、その決定までにもかなりの時間を要する。

搬送患者の転帰状況

搬送患者の転帰は、全般に改善したのが40例、重篤な後遺症を含め長期療養を必要としたのが6例、早期に死亡したのが7例、急性期は回復したものの、その後、合併症を起こし死亡したのが3例、島外患者を含め、消息不明が11例であった。
搬送時の緊急度別の転帰では、緊急度1(緊急処置をしなければ生命に危険を生じる場合)が39例で、死亡率は15%。緊急度2(生命に直接の危険はないが緊急処置をしなければ身体に障害を生じる場合)は21例で、死亡率は19%。緊急度3(身休・生命のための緊急処置は必要としないが、高度の医療を必要とする場合)は7例で死亡はなかった。

今後の課題

利尻島は、札幌市内のヘリコプター基地から274km以上離れた遠隔地であり、今後は無給油で往復できる機種での飛行を望む。また離島で、かつ高い山(利尻山・1721m)があり、雲・霧が発生しやすい上、風が強く天候も変化しやすい場所であることから、これらに対応できる機種での飛行を望みたい。

さらに天候は現在、主に稚内で調査されているが、利尻地方とは必ずしも一致せず、今後は利尻島内の天候観測装置を充実させ、安全運航の一助とすることが望まれる。
救急搬送は、患者を迅速かつ安全に上位医療機関へ移送することが肝要だが、これを安全に運航することも大切な要因である。そのためにも、前述の課題が早期解決するよう、関係各機関と連絡をとりながら努力してゆきたいと思う。

 

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