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なるのみであり、その他の点では一般内科と家庭医療科との相違は余りないと言われている。当町における診療は産科および内診を要する婦人科を除いた家庭医の範囲である。当診療所の診療内容を表1に示した。

1.近接性 Accessibility

玉之浦町は12の集落が散在しており、診療所が町の西端に位置することもあり、最も遠方の集落まで車で約40分を要する地理的条件にある。そのため町内には4つの出張診療所があり(図1)、週に各1回巡回している(表2)。出張診療所へは9人乗りワゴン車を使って、医師1人、看護婦3人、事務職員1人の計5人で出かける。薬剤は車に積み込み各診療所において処方し、事務職員が会計をする。出張診療所の検査では検尿、心電図のみ可能で、時に血液を持ち帰ることもある。診療終了後、遠方の地区からの患者はワゴン車を使って自宅近くまで送る。出張診療所は各地区の高齢者に広く利用されており、また当該地区の予防接種もここで行なわれる。高齢者の中には車酔いのため本診療所まで通院できないという患者が意外に多く、出張診療所はその患者らにとりわけ喜ばれているようである。

本診療所は平成6年の新築により町内最大の集落より約3km遠方に移転した。そのため、旧診療所の所在地区をはじめ遠方の地区の住民の便宜を計るため無料の送迎バスが運行されている。往診は24時間対応している。高齢者だけの家族形態で自家用車を持たない場合があることやタクシーが町内にはないという事情があり、受診に行く手段がないということだけで往診を依頼される場合もある。へき地医療という言葉には“かかりつけ医”と言う精神的近接性の意も含まれると思われるが、実はひとり医師

 

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