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1996年は8月31日までに3,761分間(約63時間)、車の運転をした。訪問先での滞在時間は19,860分間(331時間)であった。
1996年の訪問日の平均移動時間は24分であった。また1人当たり1回の診療時間は30分であった。患者さんは皆「こんなに丁寧に診てもらったのは生まれて初めてだ」と、うれしそうに言ってくれる。
13)訪問診療患者の死亡について(表-4)
1996年8月31日現在100人の患者の内15人が死亡している。これらの患者は皆、歯科疾患や私の歯科診療が原因で死亡したのでないことを断っておく。
表-4は初診から死亡するまでの日数の短い順に並べた。患者番号は歯科訪問診療を受け付けた順番を表す。その他、性別、初診蒔年齢、処置完了から死亡するまでの日数も示した。
初診から死亡するまでの日数の一番短い患者(患者番号41)は21日で亡くなった。この方は肺癌の末期で苦しそうに呼吸をしていたが、「入れ歯の調子が良くなり、口からしっかり食事がとれるようになれば、体に力がついてくるだろう」と期待していることが私たちに伝わってきた。3回の訪問で上顎の総義歯の裏装を行い、処置完了後12日で亡くなったが、「入れ歯が落ちてこなくなって良かった」と喜ぶ笑顔が今も思い出される。
処置完了前(処置完了から死亡するまでの日数が0日)に亡くなった方が4人いる。次の方たちである。患者番号27の患者は修理した義歯を入れるべき訪問予定日の当日の朝、心筋梗塞で亡くなった。患者番号16の患者は除石をする予定の2日前に心筋梗塞で亡くなった。患者番号13の患者は口腔清拭に訪問する3日前に、肺炎のために亡くなった。患者番号20の患者は前歯の前装冠の形成、暫間被覆冠まで終わり、日を改めて印象を採りに行ったところ、熱が高く、ほてった顔をしていたため、その日は何もせず、内科医の診察を受けることをすすめて、よくなるのを待っていたが、入院先の病院で肺炎のために亡くなった。皆、眼で笑い合える患者さんたちであった。
III.まとめ
私たちが歯科訪問診療をした100人の患者さんはどの方も私たちの訪問を歓迎してくれた。
たとえ、処置完了後、短い期間で亡くなっても、また、治療の途中で亡くなっても、その患者さんのより快適な人生の手助けができたことを、私としては誇りに思っている。また、人の人生の終わりこ近
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