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あとがき


このたび発刊された「へき地医療の現状と対策」(第17編)は、医師充足状況の特集号とされた。この調査結果によると、医師の充足率は急速に高まってきている。しかし、郡部に所在する診療所や小規模の白治体病院と主に都会に所在する規模の大きな自治体病院との充足率の格差は若干は縮まったもののまだ大きな開きがある。

●今回の調査で特徴がはっきり出たことが二つある。その一つは、病院では東北地方、診療所では離島の多い九州地方の医師の充足率が低いことである。私は医師の斡旋を行っているのでこの傾向は実感として認識していたが、この調査で、この実感が間違っていないことがはっきり裏付けられた。もう一つは、診療所の総医師の充足率が前回の調査より低下していることである。開業医師が高齢化したことにより、診療所への応援が従来のように行われ難くなったことによるものと考えられる。

●目下国会に提案されている医療法の改正案では、かかりつけ医を支援する地域医療支援病院創設の構想が盛られており、医療のシステム化が大きな柱となっている。医療機関の多くが計画的に設置されていないことは、わが国における医療制度の特色といえるが、このような自由開業医制下において、医療のシステム化を図ることは、へき地医療対策の面からも極めて重要なことである。併せて、適切な財政措置を講ずること等の方途により実現を期待する。

●厚生省では、医師数削減や薬価基準廃止を視野に入れた医療制度の抜本改革案をまとめるため、制度改革のプロジェクトチームを近く省内に設けるとのことである。医療と福祉との一本化が強調される昨今、医師の活躍分野は今後増えるのか、または、狭まるのか、どれくらい増えるか等このような基本的なことをまずつめて頂きたい。この結果をみれば、厚生行政についての国の方針がはっきり出てくる。
この冊子が出来上るまで大変お世話になった。厚くお礼を申し上げる次第です。

社団法人 全国自治体病院協議会

参与 米田 啓二

 

 

 

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