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海外医療事情調査報告

第13回アジア太平洋地域がん学会

「緩和ケアセミナー」に出席して*

松島たつ子
ピースハウスホスピス・ホスピス教育研究所
日時:1996年11月17〜20日
場所:ペナン(マレーシア)
はじめに
1996年11月17日から20日までの4日間、マレーシアのペナンにて第13回のアジア太平洋地域がん学会が開催された。
本学会は、1966年、第9回国際がん学会が東京で開催された際、アジア地域でがんについての意見交換の場がほしいという強い希望が出されたことがきっかけとなっている。経済的な問題を乗り越え、1973年、日本で第1回のアジアがん学会が開催された。その後、太平洋地域の国々が参加するようになり現学会名となり、80年代に入り、アジア地域のがん患者の急増とともに、本学会の活動もますます活発になってきた。また、がんの予防活動のためのボランティアの参加など、参加者の幅も広がってきた。
第13回となる今回は“Towards Quality of Cancer Care”をメインテーマとし、多数の学術講演、一般演題の発表が行われた(図1)。同時に、今回は、“がん看護”“緩和ケア”、また“がんのリハビリテーション”という3つのセミナーが平行して開催されたことも大きな特徴である。参加者は、これまで中心となってきた医師のほかに、看護婦、ソーシャルワーカー、心理学者、宗教家そしてボランティアなど、総勢1,200人余りであった。日本からは、学術会議に大学病院や公立病院などに所属するがんの専門医が参加されていた。私は“緩和ケア”のコースに出席したが、このセミナーへの日本人の参加は私一人であった。
緩和ケアセミナー
「アジアにおけるホスピス」をテーマとする本セミナーは、アジア太平洋地域でホスピスケアに従事する者同士の交流、この地域における今後のホスピスケアの方向性の確認、そして最新の緩和ケアに関する情報提供等を主な目的として開催された。
プログラムは図2に示すような内容で、講演やパネルディスカッションとともに、7つのワークショップがあり、参加者同士が意見交換する場も多く設けられていた。
講義やディスカッションから、とくに印象に残ったテーマについて以下に報告する。
1.ホスピスケアと文化
終末期のケアにおいては、患者や家族の文化的

 

* Report on the Palliative Care Seminar at the 13th Asian Pacific Cancer Congress

 

 

 

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