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研究と報告

Terminal Careにおける診察術のあり方
第1報:癌患者の剖検例よりみた合併症*1
児島五郎*2 富山良雄*2 村井俊介*2
Wardemar Kippes*3 松井昭*4 篠田知璋*4
日野原重明*4 西立野研二*5 市丸みどり*5
目的
この研究の目的は、苦痛を訴えている末期癌患者を診察した時にその苦痛の原因を把握するためには、問診や聴診器を中心とした理学的所見による病状の把握が画像診断の進歩した現在でも重要であると考えた。そのわけは、末期癌患者は病状が悪化すると、病院においても複雑な検査や頻回に検査ができないからである。
そこで末期癌患者の病状を把握するにはどうしたらよいか考えた時、ふと癌で亡くなり剖検された多くの貴重な資料を分析して、その結果から、病状の把握に役立つような合併症がわかればその合併症を参考にしながら注意深く診察をして、苦痛の原因を把握し、その除去する手掛かりを得ることができると考えた。
また、パーキンソン病のように画像診断よりも医師の診察が病気の診断に重要な役割を持っ疾患のある事実も考えた。さらに、在宅医療でも医師が往診し、患者の病状を把握するためには、問診や聴診器などで得られる理学的所見を中心に病状を把握する必要性に迫られると考えたわけである。

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図1 剖検例の年齢別、性別度数分布(449例)

 

*1The Art of the Medical Examination as It Ought to be in the Terminal Care
−The First Report on Complication of the Cancer Patients Detected by Autopsy Findings
*2聖テレジア病院
*3聖マリア学院
*4聖路加国際病院
*5ピースハウス病院
死の臨床研究会関東支部、1996年6月

 

 

 

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