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研究と報告

POSシステムを用いての栄養指導
小児期から肥満で成人後も高度肥満でリバウンドを繰り返す症例*1
寄崎靖子*2 小山勝一*3 山下眞*4 岡崎倫正*2
日野原重明*2
要旨
肥満者の減量指導には幅広い視点から患者の肥満となった要因の情報を得ることが重要である。そのためにPOSシステムはたいへん有効である。POSを用いての栄養指導の報告は多くない。小児期からの肥満は主に生育歴、生活習慣、食行動などの問題から発症するといえるが、本症例のような肥満が主原因の生活習慣病は減量により検査値に改善がみられた。
POSシステムによって生活習慣の問題点が明確に示唆された。QOLを損わずリバウンド防止に生活習慣を変容する配慮は大切といえる。
キーワード:肥満、栄養指導、生活習慣、リバウンド
はじめに
中木によるPOSシステムを用いる栄養指導を当クリニックでは実施している1)2)3)。今回、小児期からの肥満で成人後も高度肥満で高血圧、高脂血症、肝障害、高尿酸血症、糖尿病の診断を受けた1症例にPOSを用いた栄養指導を行って減量指導を行った。短期間で検査所見は改善したが、6年間に3回リバウンドを繰り返した問題を検討する。
対象と方法
症例 27歳、男性、会社員、独身、両親と同居
主訴 1996年8月健診で肥満、高血圧、高脂血症、肝障害、高尿酸血症、糖尿病
既往歴 1990年(21歳)、1992年(23歳)、1994年(25歳)の計3回にわたり健診で肥満、高血圧、高脂血症、肝障害、高尿酸血症、糖尿病を診断され食事療法を実施して改善した。
家族歴 母は肥満(70kg)、高血圧、父は標準範囲体重、双生児の弟は肥満で減量(80kg)
1.プロフィール
性格:言葉数少ない。
*1Nutrition Guidance using POS System
−A Case of a High Obesity Adult Client Keeping Relapse Since Childhood
*2ライフ・プランニング・センタークリニク
*3東京慈恵会医科大学第三病院代謝科
*4日本大学医学部駿河台病院循環器科
第19回日本POS医療学会、1997年3月

 

 

 

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