日本財団 図書館


 

糖尿病

早期発見と早期治療のための方策

 

池田義雄

東京慈恵会医科大学健康医学センター

健康医学科教授

 

はじめに-糖尿病情報を活用していますか

 

みなさんこんにちわ。昨夜の月はきれいでした。ごらんになりましたか。ススキを飾ってお団子を備えて月餅という中国のお菓子を頂くという雰囲気で中秋の名月を観賞するのが伝統ですが、そういう情緒豊かな日々をなかなか送られないというのがいまの現代社会です。ストレスが多いですね。ストレスが多いので糖尿病もふえるという仕組みがあります。

『さかえ』という雑誌はご存じでしょうか。この雑誌の10月号(1996年)には歌手の村田英雄さんの特集が出ています。村田英雄さんは下肢切断をされて、しかも復帰を果たされたのですが、『さかえ』を一生懸命お読みになって糖尿病について初めて正しい理解ができたと語っておられます。では、それまで村田さんの治療に当たっていた医療スタッフは何をしていたのかということになります。医療スタッフは村田さんをしてよい治療への動機づけができなかった。その結果、下肢切断に至ってしまったということなのでしょうか。

『さかえ』は(株)日本糖尿病協会が刊行している患者さんを対象にした雑誌ですが、内容的には医療スタッフにもぜひ読んでいただいたほうがいいと思います。患者さんが知っていることを医療スタッフが知らなかったというのでは困りますので、ぜひ目を通していただきたい。みなさん方が接する患者さんの中には何科を問わずに全科にわたって必ず糖尿病がらみの人がいます。ですから病棟でも外来でも、糖尿病の患者さんに接するチャンスは非常にふえていますから、関係ないとは言っていられないのです。少なくともこの雑誌に書かれているくらいのことは心

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION