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がしやすくなるということで、日常生活がかなり向上するということが最近わかってきました。このようなわけで、わが国でも在宅酸素療法を健康保険で認めるようになったわけですが、しかし問題点がないわけではありません。

 

2. 問題点

 

1)管理上の問題点
酸素というのは医師が医療として使う場合には、これはdrug=薬剤です。薬剤としての酸素、ですから日本薬局法という法律にのっとってつくられています。工場などでも酸素は用いられていますが、医療として用いる場合は薬剤という範囲に入っているわけです。いろいろな薬を用いる場合に、その薬に対して医師、ナース、薬剤師、コメデイカルはじめ患者さんの理解がしっかりできていないと、これには危険が伴います。酸素でも、たとえば医師がこのような流し方でやっていてくださいというのに守らなかったり、カニューラをしておきながらも、口で息をしていて鼻はつまったままの状態、口で息をしている、これでは酸素はほとんど中に入りません。こういうことがしっかりチェックされていないと、むしろ危険なこともあるわけです。

 

2)保険適用の基準
在宅酸素療法は1986年4月から保険適用になりましたが、当初は安静状態でPao2が50mmHgでした。しかしこれでは、まず病院の外来にくるというのがかなり困難な患者さんであり、Pao2 60?Hg以下でも肺性心があればという基準ではきつく、そのようになる前に在宅酸素は使うべきではないかという意見をわれわれは出しました。そこで1988年4月からPao2は55?Hgとなり。Pao2は60?Hgでも睡眠時あるいは運動負荷に著しい低酸素になる例では適応となることになりました。

 

 

 

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