I.酸素吸入の原理
1.空気から組織へのO2の輸送
酸素吸入の意味を理解するために、まず普通に空気を呼吸しているときの肺から組織までの酸素のとり入れの図をご覧ください(図1)。これはあくまで模型図ですが、Aが気道で、Bが肺胞と考えてください。肺胞のところには毛細管(C)が通っていると考えてください。さて、左側の目盛りは酸素の分圧(ある気圧のもとでの酸素の占める圧力、PO2と書く)です。気道に吸い込まれた空気中酸素の分圧が150mmHg(国際単位ではTorrということになっている)ということは、どういうことかということを、まずお話ししようと思います。
大気圧を(1気圧とすると)760?Hgだとすると、気道(鼻腔から咽・喉頭、気管まで)を入るにしたがって水蒸気に満たされるのでその圧(水蒸気分圧)を引きます。すなわち(760−47)mmHgとなり、これの20.9%(空気中の酸素の割合)と計算しますと大体150mmHgになります。150mmHgの吸入気がさらに肺胞に入ってくるまでに、肺胞に出された炭酸ガス分圧と混ざったり、肺胞に近い低い酸素分圧と混ざったりして、肺胞では大体それが100mmHg(PAO2=100mg)に落ちるわけです。100mmHgに落ちてはいますが、毛細管との拡散が完壁にいきシャントがないとすれば酸素分圧は100mmHgのままで動脈血はPAO2=100mmHgで構
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