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アーは、先般やりましたときには32人12カ国の方がお越しになりまして歴史街道を見て回られました。重要な目的はモニタリングをすることです。これについてはあとでご紹介したいと思います。
映像ですが、これは今は何も実際はやっておりませんで、将来的には海外でのテレビ番組を放映したいというのが現在の目標です。なんだかんだといいましても、歴史文化というのは外国人が日本に求める魅力のトップです。その歴史的建造物のうち国宝が関西に6割あるわけですから、かつ私どものところにすでに2分番組ではありますが500本以上ソフトがございます。関西には世界に名高い有名な企業もたくさんあるわけですから、そういう企業の宣伝活動とうまくジョイントをして海外のテレビに流していきたい。その際には建造物だけではなく、祭りとかいろいろなものが流せると思います。お祭りに関しましては、三都夏祭りということで関経連さん、大商さんなどを中心にしましてネットワークができましたので、これをもっと増やして和歌山のお祭りも滋賀のお祭りも海外に出せるように、祭りを非常に重要な魅力としてPRしていきたいと思っております。
ということで、一つではできないことをトータルで広域的に連携してやっていこうという団体だというご理解をいただければと思います。さて、こういう活動を通しましていくつか気づいたことがございます。一つは、基礎的なことがあまりにもできていないということです。例えばアジア、アジアといいますが、ハングル語の看板などは関西には1本も立っていませんし、新幹線の切符にすら英語表記がない。あるいは、国際観光振興会さんにいろいろお世話になってフォーラムを開いているわけですが、事務所に行ってみますと関西のパンフレットは全然ないのです。東北とか四国とか九州はたくさんあるけれども関西は全然ない。これは何かというと、自治体の人などがつくられても送っていないのです。非常に基礎的なことだと思います。
それから、関西の自治体が非常に海外PR熱があるということをよくいわれますけれども、そのやり方も正直言うとまずいのではないか。例えば、見本市でビジネスをする習慣のない国に行ってブースを構えて、チラシだけ配っているという状況で、これで何百万も使っている状況などもあります。もう少しやり方を考えないと、やってきましたというだけではどうかなという感じがするわけです。それから、受けるエージェント、団体がございません。海外からの旅行者があったときに、よく外国で文句をいわれますのは、安い旅館にファックスを流したけれど返ってこない、なしのつぶてである、それは仕方がない面がある。また、国内での日本の旅行会社さんと組んでやると非常に高いので全然商品にできない。こういう矛盾があるわけで、受けるエージェントというのを考えていかなければならないのではないかと思います。そういったことなど、基礎的なことがまったくできていないというのが、私が指摘したい点です。そういう面を改善したりレベルアップする提案をしていくのもわれわれの役割の一つなのではないかというふうにも思っております。
二つ目は、今日ハッチソンさんからのご指摘にもありましたが、戦略がゼロである。つまりアジア、アジアというけれど十把一絡の状態です。韓国と台湾とシンガポールは全然違うわけでして。それはそうです、日本と韓国は違うのですから。そのあたりが全然理解されていないのではないかと思われる節がよくあります。マーケティングというと難しそうですけれども、要は相手を知るとか相手の身になるということです。相手を知るというのは、オーストラリアみたいに専門的なところまでふみ込むのは次のステップとしまして、ある国の外国人のある層の方の好み、あるいは日本へのイメージ、旅行の仕方、旅行業の形態、マスメディアの形態、言い換えると情報のあり方、あるいは休暇の取り方、このあたりをきちんと整理をして考えておかないと、旅行商品をつくるといってもなかなか的を得たものにならないのではないかと思うわけです。
一例を申しあげますと、アメリカ人とヨーロッパ人は全然違うわけですが、基本的にはヨーロッパ人は文化財については復元物、修復物は文化財ではないという理解です。例えば、伊勢神宮というのはだめなのです。そういう意味では、京都より奈良のほうが売れる可能性がある。アメリカ人は、私の独断と偏見なのですが、一定以上古いものはみんな一緒です。ですから、4世紀といおうが何世紀といおうがあまり関係ない。歴史は大好きです。それと、形がないとだめなようです。例えば奈良の平城旧跡に連れていきまして、私としては「日本人だって捨てたものじゃないだろう。こんなところを守ってるんだぞ」といいたかったわけですが、「ナッシング」というわけです。飛鳥の石舞台古墳に連れていきますと、「なぜ石が積んで

 

 

 

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