日本財団 図書館


(3)今後の課題
ノーマライゼーションの考え方の普及により、多くの高齢者は、住み慣れた家庭や地域で老後生活を送りたいという希望を持っている一方、核家族化の進展により、家庭の介護機能は著しく低下している。また、75歳以上の後期高齢者には、専門知識を要する重度の要介護高齢者の比率が高まってくる。要援護高齢者に対する保健・医療・福祉に対するニーズの増大とその多様化・専門化に対応するためには、それぞれの施策の充実とともに、必要な時に必要なサービスを受けられる利用者本位の体制づくりが求められる。総理府が平成6年度に実施した「高齢者介護に関する世論調査」では、「ここ数年ぐらいの間に、自分自身や身近な人のために介護サービスを利用したことがある」と答えた人のうち、約半数が介護サービスについて「不満がある」と答え、その内容としては、「サービスを提供している機関、利用方法、利用料金がよくわからない」、「利用条件が厳しかったり利用手続きが面倒である」が最も多い。
自治体における保健、福祉関連部局の統合は全国的な潮流であり、広島市においても平成9年度の組織改正において、両部門を統合した「社会局」を新設することとしているほか、区役所においても、従前本庁所管であった保健所機能を区役所に取り込み、福祉事務所機能と統合し、生活課、健康長寿課、保健福祉課からなる厚生部を設置することとしている。こうした組織体制の見直しと合わせ、職種間の連携や行政、社会福祉協議会、民生委員、医療機関等の相互の連携を緊密にし、利用者のニーズに的確に対応したサービス提供体制の充実を図っていくことが必要である。
 
5 バリアフリーなまちづくり
(1)高齢者に配慮した生活環境の整備
?広島市公共施設福祉環境整備要綱の制定
広島市では、昭和57年に「広島市福祉のまちづくり環境整備要綱」を制定し、障害者や高齢者に配慮した建築物等の整備を進めてきたが、平成6年度に「ハートビル法」及ビ「広島県福祉のまちづくり条例」が制定されたことに伴い、福祉環境整備に関する諸基準の輻輳を避けるため、広島市の民間施設については「広島県福祉のまちづくり条例」による整備誘導を行い、市の施設については、民間施設の先導的役割を果たすとともに、高齢者等の社会参加を促進するため、県条例より高いレベルの市独自の基準に基づき整備することとし、「広島市公共施設福祉環境整備要綱」を平成7年8月に制定、施行した。
?福祉のまちづくり環境整備事業(バリアフリーひろしま2001)
市が設置、管理する既存の建築物、市営住宅、公園、道路については、福祉のまちづくり環境整備事業(バリアフリーひろしま2001)として、平成7年度から平成12年度(2000年)までの6か年で、約90億円の事業費により、計画的な整備を行うこととしている。
(2)高齢者の家族構成に対応した多様な住宅の供給
?市営住宅の整備
市営住宅については、平成元年度着工分から建設基準がバリアフリー仕様となっており、既存住宅については、福祉のまちづくり環境整備事業の一環として、共用階段の手摺りを設置するなどの整備を進めている。また、シルバーハウジング・プロジェクトとして、平成7年度市

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION