日本財団 図書館


介護の内容をみた場合、5年前と比べて家族による介護が減少し、公的サービスによる介護が顕著に増加している。できるだけ子どもに負担をかけずに独立して暮らしたいという裏返しとして、介護は公的サービスでという思いが広がってきている。(図10参照)
介護サービスの拡充には、施設建設のための用地確保の問題や多額の財政負担の問題等大きな課題があるが、市民合意を得ながら、公有地の有効活用や他施設との合築、公設による整備等様々な手法を取り入れ、さらに基盤整備に取り組んでいかなけれぱならない。
また、国では介護保険制度の導入が国会で審議されようとしている。この制度が導入されることになれば、福祉サービスを利用する場合、これまでは行政が措置していたものが、サービスを提供する事業者との契約という形となる。高齢者や家族にとって、簡便で過不足なくサービスが利用できるシステムを新たに構築する必要がある。またこれと連動して、これまで市民の窓口となっていた福祉事務所をはじめ行政機関の役割やあり方を見直すことになり、時宜を得た的確な対応が必要である。
 
おわりに
京都市では、平成8年2月に新市長を迎え、その下で平成8年12月に、21世紀の飛躍への架け橋となる「もっと元気に・京都アクションプラン」を策定した。
このプランでは、「ひと」「まち」「産業」「文化」「自然」の5つの「京都元気策」を柱に、平成8年度から11年度までの間に新たに着手、充実する施策・事業を掲げており、21世紀においても、京都に住んでいてよかったと実感できるまちづくりを目指しているが、言うまでもなく、「ひとの元気策」の重要な柱の一つは、「お年寄りのすこやかなくらしと社会参加の支援」である。具体的な内容は割愛するが、「高齢者保健福祉計画」の着実な推進を図るなどの中で、高齢者にやさしい先進的な高齢者福祉のまちづくりを進めようとするものである。
そう遠くない時期に迎える超高齢化社会において、市民みんなが、本当にすこやかで安心できる生活を送ることができる社会をつくるためには、行政として最大限の取組を進めていくことはもちろんであるが、企業、地域社会、家庭、個人が相互に協力しあうなかで、行政とのパートナーシップのもとそれぞれの役割を積極的に果たし、真に高齢社会にふさわしい社会システムを築いて行く事が求められている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION