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1 京都市における高齢化の状況
京都市の人口は、約146万人であるが、平成7年国勢調査では、高齢者人口は21万3千人、高齢化率は14.6%となり、5年前の平成2年と比べて2万8千人の増、高齢化率で1.9%の上昇となっている。
図1は、昭和30年からの年齢(3区分)別人口の推移であるが、平成2年から平成7年にかけて、それまで以上に急速に高齢化が進んだことがわかる。
次の図2は、平成7年国勢調査の行政区別にみた年齢(3区分)別人口であるが、「東山区」、「下京区」、「上京区」では高齢化率が20%を超えており、「東山区」では4人に1人が65歳以上の高齢者で占められるという、既に時代を先取りする地域社会が到来している。これらの区は、いずれも京都市の都心区であり、周辺区の「西京区」、「伏見区」、「山科区」などは、まだ高齢化率は比較的低いが、早晩、急速な高齢化を迎えることは予想に難くない。
図3は、65歳以上の高齢者がいる世帯の家族類型の推移である。子どもや孫と同居する三世代世帯は急速に減少し、高齢者のみ単身世帯、夫婦のみ世帯が急増してきている。平成7年では、単身世帯と夫婦のみ世帯の合計は、高齢者がいる世帯の50.5%と半数を超えている。
また、図4は、平成7年8月に60歳以上市民を対象に実施した「京都市高齢社会対策実態調査」(以下「実態調査」という。)の結果であるが、子どもと別居中の高齢者の同居希望では、「同居したいと思わない」が、平成2年のときと比べて増加している。これは、できるだけ子どもに負担をかけず、高齢期も独立して暮らす一代型の夫婦家族制が定着してきていることを示している。このような高齢者のみ世帯は、さらに増加していくのは確実であり、家族介護に代わる社会的な介護支援の問題ばかりでなく、年金などの所得保障、孤立化を防ぐ社会参加促進、生活環境等、幅広い分野にわたって早急な対応が必要となってくる。
 
2 京都市における「高齢にやさしいまづくり」の取組
京都市では、国が昭和61年6月に「長寿社会対策大綱」を策定する以前の昭和59年11月に「京都市老人福祉中・長期計画」を策定し、保健・福祉のみでなく、就労、住宅や住環境、教育など幅広い分野に亘って取り組むべき課題を掲げ、高齢化社会に向けた取組を行ってきた。
さらに平成4年10月には、高齢者や家族を取り巻く社会情勢の変化を受け、

 

 

 

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