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際して障害のないまちづくりが求められる。
このため、歩道の段差の解消、駅舎へのエレベーターやエスカレーターの設置等のバリアフリー化を図り、都市環境の整備を進めるとともに、不特定多数の人々が利用する建築物については、ハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)や各自治体の福祉のまちづくり条例に基づき、高齢者等の利用に配慮した施設の整備を進めていく必要がある。
また、公共交通機関でのリフト付きバス等の導入の促進等により、移動・交通手段の確保に努めていくことが求められる。
(3)年金
多くの高齢者にとって、年金は老後の生活を支える収入のうち、かなりの比重を占めるものであり、老後の経済的基盤を支える施策として、年金制度の役割は大きい。
在職老齢年金に関して、従前は60歳から65歳未満で標準報酬月額が24万円未満の在職者については、賃金に応じて退職後に支給される年金額の2割から8割に相当する在職老齢年金が支給されていた。このため、賃金が増えても賃金と年金の合計収入があまり増えず、高齢者の就労意欲を阻害していると指摘されていたが、この問題は平成7年4月に改善され、賃金の増加に応じて賃金と年金の合計収入が増加するような仕組みになった。
今後とも年金制度を維持することは重要であるが、現在及び将来の少子・高齢化社会の状況を考えると、年金制度、さらには医療保険制度や公的介護保険制度を含めて、今後の社会保険制度のあり方を検討する必要があろう。
(4)就労
高齢者になると体力や能力に個人差が出てきて、就業志向もフルタイム雇用、パートタイム雇用、任意の就業など多様になる。前述のシルバー人材センターは、任意の就業を希望する高齢者に対して、臨時的・短期的な就労機会を提供するものであるが、高齢者の中には、雇用という形態を望む人もいる。
近年、定年延長は着実に進展し、60歳定年が定着しつつあるが、年金の支給開始年齢の引き上げ(60歳→65歳)等から、今後は60歳台前半の雇用確保に力点が置くことが重要な課題となり、企業は高齢者の継続雇用に努めていく必要があろう。その際、高齢者の健康面への配慮のほか、60歳

 

 

 

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