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平区内の独居老人、障害者宅を1日1〜2件回り、買い物や洗濯、入浴食事の介助をしている。「9日の大雪でセンターはてんやわんやだった」と振り返る。
ヘルパーたちは利用者宅を訪ねるため地下鉄とバスを使う。そのバスが動かなくなり、訪問できなくなった家庭もあった。10日はバスも運行したため、Aさんは「時刻表どおりには来ないけれど、何とか目的地に行ける」とホッとした様子。(中略)
社会福祉法人南静会の「札幌ふれあいフーズ」が行っているお年寄りや障害者対象の配食サービスは、9日は大雪の影響で約500食のうち、32食しか配送できなかった。10日は利用者全世帯に配送するため、通常よりも配送時間を早め、夕食用は午後2時半ごろから配送にあたった。(後略) (1月11日付北海道新聞朝刊)
※「窓から外に出たんだ。ドアなんてすっぽり埋まってビクともしなかったよ」。小樽市オタモイ1の道営住宅に1人で住むCさん(66)は、大雪初日の9日朝の様子を話す。
周辺は平屋の道営と市営住宅が330戸建ち並ぶ。独り暮らしの高齢者は80人以上。幹線道路の除雪に追われる行政の手は、ここまで延びない。Dさん(75)は「病院にも行けないけど、どうしようもない」と連日の除雪作業に疲れ切った表情だ。(中略)
9日朝、市立札幌病院腎内科部長のEさん(55)は、時計を気にしていた。人工透析を受けるはずの女性患者(47)が約束の午前9時になっても姿を見せないのだ。毎週3回の透析を受けているが、9日を逃すと丸3日も透析を休むことになる。
正午ごろ、電話連絡が入った。JR函館線の星置駅からという。「JRが動かないし、タクシーにも乗車を断られた」。今にも泣きだしそうな声だ。来院は断念し、Eさんは水分制限などの注意を与えた。(後略)
(1月12日付北海道新聞朝刊)
今回与えられたテーマは「高齢者にやさしいまちづくり」であるが、冬季間における行動制約は、高齢者にとって非常に大きな障害の一つといえよう。そこで、本稿では、「高齢者にやさしいまち」とは「あらゆる人にやさしいまち」であるとの観点に立って、各大都市共通の現状と課題はさておき、札幌市特有の課題である冬季間の雪対策と交通対策に絞って紹介

 

 

 

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