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によるサービス、民間企業等によるサービスなど、それぞれの主体が行うサービスを最適に組み合わせ、必要なサービスを最小のコストで効率的に提供できるようなシステムの構築を目指すことが求められる。このためには、行政組織の連携・統合を進めるとともに、民間団体や非営利団体、地域団体などとのネットワークを行政が中心となって築いていくことが必要になると考えられる。特に保健・医療・福祉の分野の連携・統合の必要性はこれまでも指摘されているところであり、行政内部における保健・福祉部局の統合やケアマネージメントの促進・普及などが必要となろう。
 
(2)高齢者福祉サービスの提供
行政が高齢者福祉の分野において果たすべき役割を考えると、?高齢者福祉全般に係る計画を策定すること、?高齢者福祉に係るサービス全般を民間や地域などが行うものも含めて把握し、保健・医療分野と連携をとりながら調整すること、?必要となる基盤的な施設を設置するとともにマンパワーの確保・養成を進めること、?高齢者にやさしい都市環境、住宅環境を作っていくこと、?サービスの需用者等に対する施策の広報や普及・啓発を行うこと、?高齢者福祉に携わるボランティア団体や民間団体に対し必要に応じて支援を行っていくことなどがあげられる。
財政的な問題に目を奪われ、高齢者の社会参加促進や介護を必要とする高齢者に対する支援が滞るようなことはあってはならないが、高齢者数が増加すると、医療費や介護費用など地方公共団体の財政負担が重くなることも事実である。医療費や介護費用の低減という観点からは、高齢者の健康づくりや社会参加促進のための施策を推進していくことは重要であると考えられる。また、行政がどの程度まで高齢者福祉施策を進めて行くべきかについて、上記のような施策全般にわたりスタンスを決めておくことは重要である。行政がどこまで関与すべきかは、団体ごとに歴史的背景や地域事情が異なることや、時代背景の影響を受けたり個人主義を是とするか否か等の考え方にもよることから、一概にいうことはできず、各団体がそれぞれの事情にかんがみ個別に判断していくこととなるであろう。
次に、大都市地域における特徴をみてみると、一般的に、大都市地域の高齢者は他の地域に比べ生活パターンや趣味・嗜好などが多様化している傾向があり、これに合わせた多様な施設やサービスの充実を図っていく必要性に迫られるであろう。また、大都市地域において、在住している地域以外へは出たがらない高齢者が多ければ、地価の高い都市部に多くの基盤施設を整備する必要性にも迫られるであろう。こうした間題は、必ずしもその地域だけで解決できる問題とは限らず、県単位の広域的調整も必要になると考えられる。
また、高齢化の進展や状況に地域差があることを考えると、全国一律の画一的な福祉施策だけではなく、地域の実態に適合したきめ細かな施策の実施が求められる。大都市地域においては、現在は全国的にみれば高齢化率は高くはないが、今後の高齢者福祉施策を論ずる場合には、高齢者の「割合」に着目するよりは、むしろサービス供給の対象となる高齢者の「絶対数」の増加に注意を払う必要がある。その意味におい

 

 

 

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