日本財団 図書館


段の支障がない限り、それを公にしておかなければならないことになったため、審査基準と指導基準の区別が対外的にも明瞭になり、指導基準に関しては、法的には従う必要のない事項についての行政指導であるという理由で、協力を拒否する事例が増加する可能性もある。
また、地方公共団体の要綱に基づくアセスのうち、条例に根拠のある許認可等に関するものであれば、行政手続条例の申請に対する処分の規定が適用され、同様のことがいえる。
ちなみに、都道府県、政令指定都市のすべてが、すでに行政手続条例を施行している。
さらに、地方公共団体の要綱により、環境影響評価法に基づく手続を上乗せしたり、法対象事業につき規模要件を裾出しをしたり、法対象事業以外の事業への横出しをしたりしても、行政指導には強制力はなく、相手方の任意の協力に依存するしかない。地方公共団体の機関が行う行政指導については、行政手続法4章の規定は適用されず、行政手続条例の行政指導の規定が適用されることになるが、すべての行政手続条例に行政指導の限界を明示する規定が置かれている。
したがって、地方公共団体の要綱に基づくアセスの実効性を担保するためには、条例化を検討する必要がある。
 

(第6章担当 宇賀委員)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION