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(2)上位計画・政策における環境配慮
個別の事業の計画・実施に枠組みを与えることになる計画(上位計画)や政策についても、環境の保全について配慮することが必要であり、政府はできるところから取り組む努力をしつつ、今後具体的な検討を進めるべきである。
 
3.対象事業
 
(1)対象事業の範囲
規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれがあり、かつ、国が実施し、又は許認可等を行う事業を対象事業に選定することが適当である。具体的な事業種については、現在閣議決定要綱により環境影響評価が行われるものに加え、対象を拡大することが適当である。
(2)対象事業の定め方
一定の事業種を列挙した上で、?規模要件によって必ず環境影響評価を実施すべき事業を定めるとともに、?その規模を下回る事業についても一定規模以上のものは、事業の規模、事業が実施される地域の環境状況等によって、環境影響評価を実施するか否かを個別の事業ごとに判断する手続(スクリーニング手続)を導入することが適当である。また、スクリーニングの判断は、地方公共団体の意見を聴きつつ国が行うことを基本とすべきである。
 
4.調査・予測・評価の対象
 
(1)調査・予測・評価の対象の内容
生物の多様性の確保や人と自然との豊かな触れ合いなど、環境基本法の下での環境保全施策の対象を評価できるよう、調査・予測・評価の対象を見直すことが適当である。
(2)調査・予測・評価の項目及び方法の定め方
事業者が、環境影響評価手続に係る調査を開始するに当たって、事業に関する情報や実施しようとする調査等に関する情報を地方公共団体や住民・専門家等に提供し、意見を幅広く聴いて、具体的な調査項目等の設定を事業者が事業が個別に判断する手続(スコーピング手続)を導入することを基本とすべきである。
 
5.調査・予測・評価の実施
 
(1)準備書・評価書の作成主体
準備書・評価書の作成は、事業者の責任において行うことを基本とする。
(2)評価の視点
個々の事業者により実行可能な範囲内で環境への影響をできる限り回避し、低減するものであるか否かを評価する視点を取り入れ、複数案を比較検討したり、実行可能なより良い技術が取り入れられているかどうかを検討する手法を導入していくことが適当である。この場合、事業者が事業計画の検討を進める過程で行われる環境保全対策の検討の経過を明らかにする枠組みとすることが適当である。

 

 

 

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