
5. PLP対策のあり方について
5.1 安全設計について
5.1.1 安全設計のあり方
最初に船舶機器などの本質的な安全化を進め、想定される危険を可能な限り排除する。その上で除去できない危険については、安全装置を付加することにより対応し、それでもなお残存している危険について警告(使用者に対する危険情報提供)を行う。
(1)安全設計の必要性と限界
本質的な安全対策を行うことによって、製品に存在する危険を100%排除することは困難である。また、製品の危険がほぼ排除されている場合でも、使用者の不注意により事故が発生することが想定される。従って、使用者の取扱上の不注意があることを想定して安全設計を行うことが求められるが、この場合でも、100%に近いフェールセーフ対策を実施するのは容易でない。
(2)警告ラベル・取扱説明書の限界
警告ラベル・取扱説明書は、以下の理由などによりその本来の機能を十分に果たさない場合も想定される。
・言語や教育レベルの違う人や字の読めない人など全員が理解できるラベル作成は難かしい。
・誰でもウッカリミスがあり、ラベルを見落とす恐れがある。
・耐用年数の長い製品においては、十分なメンテナンスが行われていないと剥がれ、変色などにより読取りにくくなる。
(3)安全基準・規則との関係
船舶のみならず、すべての製品に共通することであるが、製品が行政上の安全基準・規則を満たしていることは非常に重要な条件であるが、これらの基準は製品が満たすべき最低の条件に過ぎず、訴訟などにおいては、これらを満たしていても、それを以って「欠陥の不存在」を主張するための絶対的な抗弁にはならない。従って、安全基準・規則を十分クリアした上で、さらに製品の安全性を高めていく努力が必要である。
5.1.2 製品安全設計の実施手順
製品の安全性は、開発・設計段階で検討・設定され、設計仕様書、設計図面、注文仕様書などに
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