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(2)製造物責任予防対策(PLP対策)の進め方
製造物責任予防対策(PLP対策)は、まず、製品に関する様々な危険を洗い出す作業から開始し、次に、これらの危険について、その発生する可能性を除去するなり、あるいは発生確率や危険の程度を減少するための対策を検討していく、という手順で進められる。その際には、製品に潜在する様々な危険についてその「発生頻度」と「損失の程度」を考慮しつつ、技術的側面及び経済的側面の双方を踏まえ、対策を講じていくことになる。例えば、「手を巻き込まれ、重傷を負う」という危険に対しては、安全防護カバーや自動停止装置を付加することが効果的であり、「電極に触れ、感電し、死亡する」という危険については、電極を被覆するとともに「高圧危険」の警告ラベルを貼付することなどが考えられる。
その際に重要なことは、この危険の排除のスナップは「?製品本体の安全化→?安全装置の付加→?指示・警告」の順番によって検討されねばならないということである。
製品の設計変更や安全装置の付加などにより、まず本質的な製品安全化の可能性を十分検討し、その上で、まだ排除できない危険が残された場合に最後の手段として警告ラベル、取扱説明書などによる指示・警告を行い、ユーザーの協力を得ることによって事故を予防する、これが製造物責任予防対策(PLP対策)の基本的な実施手順である。

 

3.2 製造物責任防御対策(PLD対策)のあらまし

企業が製品の設計・製造において事故予防のために最大限の注意を払ったとしても、PL事故の発生を完全に予防することは事実上不可能である。従って、企業としては、製造物責任予防対策(PLP対策)を講じるのみでは不十分であり、不幸にして製品事故が発生した場合を想定して、円滑なクレーム対応を行うための体制を整え、PL事故によって企業が被る損失を最小のものとしていくための製造物責任防御対策(PLD対策)を講じていく必要がある。
PLD対策は、いわば企業のPL対策の最後の砦であり、PL事故によって企業が被る損失を出来る限り抑制するとの観点から極めて重要なものである。さらに、PLD対策の一環として社内において適切なクレーム対応体制が構築されることにより、製品の安全性に関する消費者苦情が設計・製造部門に適切にフィード・バックされ、PLP対策面への有益な効果がもたらされるというメリットも生じてくる。
PLD対策については、本報告書の主題ではないので、詳細な解説は省略するが、日頃から取り組むべき具体的項目として以下の点が挙げられる。
・社内体制の整備
・社内文書の管理体制の整備
・関連企業との責任関係の明確化
・PL保険の手配

 

 

 

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