
家財が汚損した。
●自動車の自動変速装置の欠陥により暴走事故が発生、通行人が死傷し、運転者も負傷した。
●家庭用電気掃除機の吸い込み口の欠陥により、幼児が指を吸い込まれて怪我をした。
●屋外専用ガスコンロの警告表示が不十分であった為、使用者が屋内で使用し、火災事項が発生、火傷を負った。
●自転車の整備不良によりブレーキが作動せず交通事故が発生、歩行者が重傷を負い、自転車に乗っていた使用者も怪我をした。取扱説明書には定期点検の必要性が十分に記されていなかった。
●業務用製麺機の清掃作業を行っていた蕎麦店の店主が指を挟まれて負傷した。製麺機には十分な安全装置が施されておらず、警告も不十分であった。
●包装が不十分であった為に、医薬品の内容物が物流過程において変質し、それを服用した患者の容態が悪化した。
<船舶の例>
●船舶に搭載されていた燃料ポンプに適切な警告表示が貼付されていなかった為に、船員がその使用方法を誤り、燃料が漏れ、引火し、大火傷を負った。
●旅客船の乗客が、搭載されていた舶用機器の使用方法を誤った為、指を切断した。原因は、使用方法の説明及び警告の不備であった。
●客船の乗客が、客室備え付けの電気ドライヤーを浴室内で使用していたところ、感電事故が発生し、死亡した。当該ドライヤーには感電事故に関する警告ラベルは添付されていなかった。
2.4 海外における製造物責任事情
(1)米国における製造物責任事情
米国においては、殆ど全ての州において「厳格責任理論」が採用されており、欠陥の存在、欠陥と損害との間の因果関係の2点が立証されれば、欠陥製品の供給者は過失の有無を問わず厳しい賠償責任を追及される。
加えて、米国においては、弁護士数が非常に多い、提訴費用が安い、さらに成功報酬制度や陪審制度の採用など訴訟を提起しやすい風土があることから、製造物責任訴訟の急激な増加と賠償額の高騰がもたらされ、現在においては、連邦ないし州レベルにおいて不法行為法改革の動きが見られるものの、依然として訴訟件数、賠償金額とも高水準にある。
(2)欧州における製造物責任事情
欧州においては、1992年のEC統合に向けて消費者保護のみならず、各国における市場条件を統一し、域内での商品の流通を促進するとの観点から、1985年に製造物責任の無過失責任化を主な内容とするEC指令が採択された。
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