
(6)開発危険の抗弁
第四条(免責事由)
前条の場合において、製造業者は、次の各号に掲げる事項を証明したとは同条に規定する賠償の責めに任じない。
一 当該製造物をその製造業者が引き渡した時における科学又は技術にする知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識するこができなかったこと。
製造業者などが「当該製造物を引き渡した時における入手可能な最高の科学技術の水準によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと」を証明した場合には、その責任が免除される。
これは「開発危険の抗弁」と呼ばれるが、医薬品、化学製品など、長期間にわたる体内蓄積によって初めて欠陥の存在が明らかになるような特殊な製品に関する事例などを除き、本抗弁が認められる余地は少ないと言われている。
(7)部品・原材料メーカーの責任
第四条(免責事由)
二 当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。
部品・原材料についても、それが「製造又は加工された動産」に該当する限り、PL法の対象となり、部品・原材料メーカーも本法の適用を逃れることはできない。従って、部品・原材料の欠陥によって事故が発生した場合、被害者は、完成品メーカーのみならず、部品・原材料メーカーに対してもPL法の下で損害賠償を請求することができ、そして、この場合、部品・原材料メーカーは、完成品メーカーと連帯して責任を負うことになる。
しかしながら、「部品・原材料の欠陥が、専ら完成品の製造業者からの設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことについて部品・原材料製造業者には過失がなかったこと」を当該部品・原材料メーカーが証明した場合には、その責任は免除されるとする規定が定められている。ここに言う「設計に関する指示」には、当該部品・原材料についての設計図に限らず、その構造、材料・材質、性能、仕様などの指定が含まれると説明されており、従って、特に部品・原材料のメーカーにとっては、製品の製造に関する発注者からの様々な指示の内容を記録し、また、その安全性について十分な検討を行っておくことが重要となる。
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