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平成8年度「海洋法条約秩序における新海上保安法制の体系化等調査研究」事業報告書?新海洋法の展開と海上保安?

 事業名 海洋法条約秩序における新海上保安法制の体系化等調査研究
 団体名 海上保安協会 注目度注目度5


海洋科学調査の法的枠組み

 
立教大学教授 奥脇直也
 
1.海洋法条約における科学調査の位置づけ
海洋法条約は科学調査に関して海域に応じて異なる規定を設けるとともに(1)、第十三部において「海洋の科学調査」についての規定において、海洋科学調査を促進するために必要な国際協力のための枠組みと手続きを定めている。海洋科学調査がこのように詳細に規定されるようになったのは、従来の軍事的安全保障の要請に加えて、海洋資源の重要性が高まったことにより、各国の海洋権益と科学調査との間の深刻な対立が生じていることの表れでもあるが、同時に、海洋法条約が規定する義務の実施において、客観的・科学的な情報の収集が条約の実効性を確保する必要不可欠の前提であることによるものでもある(2)
海洋法条約上の義務の実効確保という点からみると、たとえば、排他的経済水域における資源保存と資源の最適利用という目的が適正に実施され、沿岸国が排他的経済水域の漁業資源の可能漁獲量(TAC)から自国の漁獲能力を控除した余剰分を外国漁業に解放する義務を条約に従って実施するためには、資源の賦存状況や生態系などに関する資料の収集が不可欠である。条約は可能漁獲量の決定について、「入手可能な最良の科学的証拠を考慮する」(第61条)ことを国家に義務づけるとともに、漁獲可能量や漁獲努力量に関する統計や魚類資源量に関する資料の定期的提供と交換を行うものとしている。もっとも鯨類など資源再生能力が低い海産哺乳動物については、国際捕鯨委員会をはじめとして最近ではいわゆる予防原則(precautionary principle)(3)が採用され、科学的な確実性がないことが生物資源の保存について予防措置を講じることを延期する理由にはならないとされてきている。しかしそうした予防原則が適正に運用

 

 

 

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